Ricola

ドラゴンへの道のRicolaのレビュー・感想・評価

ドラゴンへの道(1972年製作の映画)
3.5
ブルース・リーの華麗かつ野生的なアクション技を堪能できる。
次々と敵を軽々となぎ倒していくさまは、観ていて爽快な気分になる。

この作品は、彼のそんな神業と言っても過言ではないアクションの魅力が、余すことなく詰まった作品なのである。
イタリアを舞台とのこともあり、その土地柄を活かしたシーンも登場するが、ストーリーは基本的に単純明快である。しかし、カオスな状況や急展開などもあり、正直なかなか掴みどころがない。まあでもそれさえも良い意味でチープさとして受容されるべき要素であろう。


言うまでもなく、ブルース・リーのアクションシーンが最大の見どころである。
ブルース・リー演じる主人公のタン・ロンの顔のクロースアップショットからズームアウト。
これは、彼がスゴ技を繰り出す直前に挿入されるショットである。
カメラが近づくとキリッと真剣な表情に変化し、カメラが引くやいなや敵に向かって攻撃をしかける。
しなやかかつ的確にポイントを押さえた無駄のない動きを、あっけにとられながら観てしまう。

また武術を披露したり敵と闘うのに、顔全体ではなく、彼の目元に一瞬ズームインしてから即座にズームアウトして、彼の技がロングショットでとらえられることもある。
ロンが「ゾーン」に入った瞬間が彼の表情のみならず、カメラの動きでわかりやすく示されているのだ。

闘いのシーンのなかでも、コロッセオ遺跡の見える声や音が響き渡る古い建物内での一対一の対決のシーンが最も印象深い。
子猫の鳴き声がゴング代わりという謎のかわいすぎる演出とは裏腹に、ほぼ素手のみで繰り広げられる闘いはかわいいわけはない。しかし、その一挙手一投足を固唾をのんで見守るほどの、緊張感が張り巡らされているのだ。

ストーリー性というより前述した通り、ブルース・リーの神業を目撃する作品であり、改めて彼の凄さを実感した。
Ricola

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