まちゃん

ドラゴンへの道のまちゃんのレビュー・感想・評価

ドラゴンへの道(1972年製作の映画)
3.9
ブルース・リーが主演のほか製作・脚本・監督・武術指導・音楽監修と6役を務めた作品。入魂の作品で深刻な雰囲気かと思ったが予想外に明るい雰囲気。ブルースが子役の頃から慣れ親しんだ香港プログラムピクチャーの典型的な作品なのだろう。物語は極めてシンプルだ。ローマで地上げ屋のギャングの嫌がらせに苦しめられる中華レストラン。そこに訪れた青年、タン・ロンの活躍を描く。勧善懲悪で何も考えずに気楽に楽しめるストーリー。おそらく功夫アクションの見せ場を先に発想してそれをストーリーで繋いだのではないだろうか。そしてその功夫こそが凡庸なプログラム・ピクチャーとこの作品を分けている。ブルース・リーの功夫アクションの鍵は間だと思う。全身バネを思わせる鍛え上げられた肉体。静止の緊張の中で突如として動き出す。静寂を引き裂く怪鳥音と共に繰り出されるパンチや蹴りは爆発的なインパクトを持つ。時には軽いステップを踏み、リズムを変える様子は極上の音楽だ。特にクライマックスの空手世界チャンピオン、チャック・ノリスとの対決は映画史に残る名勝負だと思う。肉体のピークを迎えたブルース・リーを堪能出来る作品。
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