こたつむり

バッド・ママのクリスマスのこたつむりのレビュー・感想・評価

バッド・ママのクリスマス(2017年製作の映画)
3.8
♪ Hurry Christmas!
  夜空を奪ってキャンドルに炎を灯し
  愛しい瞳に星を浮かべて

『バッド・ママ』の続編。
主要登場人物凡てが続投しているので、地続きの世界観が楽しめる作品でした。これは地味に大切な話です。大人の都合で中の人が変わったり、出演時間が少なかったりすると肩が下がりますからね。

また、前作は二世代の物語でしたが本作は三世代。時間軸に奥行きが生まれているのです。確かに母親は誰かの娘だし、娘だっていつかは母になる(かもしれない)わけで、横軸だけじゃなく縦軸を意識したのは、ある意味で王道。

この辺りはさすがのジョン・ルーカス。
コメディのツボを心得た脚本づくりだと思います。

あと、下品なギャグが少ないのも好印象。
過激な言葉を“一桁の年齢の少女”に言わせる…という、今の日本では確実に無理なギャグを正々堂々とやってしまう…そんな「漢の中の漢」とも言える部分もありますが…それでも質も量も前作の半分以下。

だから、とても見やすいです。
乱痴気騒ぎっぷりには無理な部分もあるし、スローモーションの多用も“クドい”気がしますが、それだって許容範囲内。目くじらを立てるレベルではありません。

そして、何よりもホロリとさせる演出ですよ。
やっぱりクリスマスってだけで涙腺が弛みますね。どこもかしこも“メジャーコード”で構成された世界観って“非日常”の極みじゃないですか。

ゆえに、この日だけは頑張らないといけないのです。やっぱ12月になったら誰もが彼もがソワソワしている、どうしようかなーって迷ってちゃダメじゃんよ、 俺とガンバローぜ(by岡村靖幸)なのです。

まあ、そんなわけで。
自己肯定感を紡ぐことが何よりも大切なアメリカの文化を描いたコメディ…とか書くと高尚な雰囲気がプンプンしますが『バッド・ママ』の続編ですからね。肩ひじ張らない姿勢で臨むが吉です。

あと、できればクリスマス時期の鑑賞がオススメ。本作を観ちゃうと頭の中がクリスマスモードになる可能性がありますからね。僕もちょっと気が早いけどクリスマス休暇を取ろうかな…3ヶ月くらい…(それを世の中では無職と呼びます)。
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