鍋レモン

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイスの鍋レモンのレビュー・感想・評価

5.0
⚪概要とあらすじ
カナダの女性画家モード・ルイスと彼女の夫の半生を、「ブルージャスミン」のサリー・ホーキンスと「6才のボクが、大人になるまで。」のイーサン・ホークの共演で描いた人間ドラマ。

カナダ東部の小さな町で叔母と暮らすモードは、買い物中に見かけた家政婦募集の広告を貼り出したエベレットに興味を抱き、彼が暮らす町外れの小屋に押しかける。子どもの頃から重度のリウマチを患っているモード。孤児院育ちで学もないエベレット。そんな2人の同居生活はトラブルの連続だったが、はみ出し者の2人は互いを認め合い、結婚する。そしてある時、魚の行商を営むエベレットの顧客であるサンドラが2人の家を訪れる。モードが部屋の壁に描いたニワトリの絵を見て、モードの絵の才能を見抜いたサンドラは、絵の制作を依頼。やがてモードの絵は評判を呼び、アメリカのニクソン大統領から依頼が来るまでになるが…。

⚪キャッチコピーとセリフ
“人生は、美しい色であふれている。”

「俺たちは夫婦だ」

⚪感想
人間ドラマ作品。

痛みのある作品だった。
前半もだけど後半からはずっと泣いてしまって目が腫れそう。と言うか腫れてる。

とにかく繊細。

実話とはいえ美化されていたりする部分もあると思うけど、単なる良いお話にせず、普遍的な愛ではない本当のの愛をも感じられる物語に。

悪く言えば地味でゆったりしとした作品だが、1秒1秒見逃せない。

「正反対の2人が愛し合う夫婦に!!」というお決まりを全面に推しすぎない内容が好感。
お互いに凄く不器用で人間らしい。

サリー・ホーキンスとイーサン・ホークが良すぎる。2人の息遣いと表情による演技がとてつもない。

サリー・ホーキンスはリウマチを患っている演技が素晴らしい。
後半の丸まった背中と縮こまった手の動きには脱帽。セリフの話し方も。

イーサン・ホークは複雑な人間性をリアルに表現している。
無骨、無口、粗野でありながらどこか優しさもあるそんな人を。
イーサン・ホークがいつの間にかめちゃくちゃカッコイイオジサンになっていてどうしたら...。声までかっこよかった。

今までイーサン・ホークの若い頃の作品を観ていたからか、サリー・ホーキンスよりもイーサン・ホークが年上と知ってビビってしまった。

強気に出てもなんだかんだモードが気になってしまったり、手放せないエベレットが切なく温かい。

一つ一つのシーンがとても好みだった。

古い一組の靴下の例えが愛おしい。



⚪以下ネタバレ



モードの叔母と兄はモードを厄介者扱いしたけど、モードが絵で活躍するようになってから後悔しているのがまた。
兄が6ドルの絵を買わされたのはスッキリだけど、叔母はモードの産んだ娘が実は生きていてということをカミングアウトするとは。
死産+障害があったと思っていた娘が実は障害はなく+裕福な家庭に売られていて愛されていたと。実際に知ったらどんな気分なんだろうか。悲しいけれど嬉しいのか。

モードが自分自身ならあんな風に幸せでいられるのかなと思ってしまうけど、彼女自身は周囲に疎まれたり、リウマチを患っていることは強く思い悩むほどではなく、大切なのは絵を描けることとエベレットと共に過ごせることが幸せだったように感じた。

実際のモード・ルイス可愛らしい方で。

モードが亡くなった6年後にエベレットは自宅に強盗が入り殺されてしまったそう。

⚪鑑賞
GYAO!で鑑賞(字幕)。
鍋レモン

鍋レモン