燕鷲

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイスの燕鷲のレビュー・感想・評価

4.0
良い映画だ。伝記映画として大変正しく、そつがない。
同じベッドで眠ったり、時には感情的になって声を荒げたり、ただ黙って愛する人のそばにいてあげたり……。
何気ないやり取りの数々がスクリーンに確かな“温かみ”を定着させている。

引き画に秀でた撮影も良い。とある人物の姿を決して近距離から撮らず、まるでモードの心情に寄り添うかのように徹底してロングショットを貫いたカメラ。あれにはまんまとやられた。



デル・トロの『シェイプ・オブ・ウォーター』が公開されたばかりということでサリー・ホーキンスに賛辞が集まるが、演技に関して一つだけ苦言を。
これは監督(演出家)の匙加減なのだが、開巻直後の芝居、あそこはもう少し抑制させたほうがよかったのではないか。
親類縁者との衝突をド頭に配置するのは結構なことだが、そこでモードの強烈なキャラクターを一気に披露されてしまうと、やはり面食らってしまう。

エベレット(イーサン・ホーク)の粗暴な部分と心根の優しさが全編を通してじっくりと描かれていただけに、ちょっと性急で惜しかった気がする。
燕鷲

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