高橋早苗

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイスの高橋早苗のレビュー・感想・評価

3.7
“みんな”が嫌いな男エベレット
つまり
皆と一緒、世の中の常識、世間体
…そんなものとは 無縁で
ひとり暮らしてきた男


一方のモードは
リュウマチを患い
人と違うことが
当たり前で 生きてきた女

親族からは疎まれ
叔母は何かと干渉する
その不自由さから 抜け出そうと
エベレットの家政婦募集に
反応した



叔母から
『男の慰みものになったと噂よ』
と言い捨てられ

『上等よ』と
鼻で笑うところが凄い!
(↑つ、つぇぇ(@_@))


エベレットが結婚を決意し
タイを締め 正装した姿を見た時も ひと言
『素敵よ』
…このひと言に モードの想いが詰まってる!
ぶるブル震えたわ♪


フツー逆やろ。あんたが 花嫁さんに
『綺麗だよ』と声かけなアカンでしょ!エベレットくん!
…ま、“みんな”が嫌いな男に 求めても無理か~w

まるで男が
女に一人前の男にしてもらう話みたいじゃないか!
リヤカー押して歩く 家までの道は ウェディングロード?


いち早く 彼女の才能を見留めた女が モードに問う
『何が あなたを駆り立てているの?』

『私は 多くを望まない
 旅行もしないから
 記憶を頼りに描くの』
・・・見てるこっちは
あれが足りない これが足りないと
勝手に感じ 勝手に判断してしまうけど



『記憶を頼りに描くの』の言葉に
…この人の中には 何一つ欠けることなく
すべてが揃っているんだと感じて
とっても 嬉しくなった


あとに続く言葉が
ラストにも 語られる

エベレットの家で 偶然、ペンキ缶を見つけた時の
ペンキの付いた指を 傍らに滑らせた時の
モードの表情


いつも いつも 観ていた
「輝きそのもの」だったのね。


《いのちの輝きが
1つのフレームに そこにあるの》
高橋早苗

高橋早苗