カナダの画家モード・ルイスを描いた映画。モードのまっすぐな生き方に感動する。せつなくも心温まるラブストーリーでもある。
カナダの東部の小さな海辺の町。重度のリウマチを患いみんなから厄介者扱いをされている孤独な女性モードは、ふとしたきっかけで魚売りの無骨な男エベレットの家で暮らし始める。エベレットも孤児院育ちで孤独。
はみ出し者同士の共同生活として始まるものの、エベレットは言葉も態度も乱暴でモードのことをなかなか受け入れてくれない。
小さな頃から絵を描くことだけに喜びを感じてきたモードは、すさんだ雰囲気の小屋のような小さな家の壁に花や鳥の絵を描き始める。それには文句を言わないエベレット。
社会からの疎外感を感じながら生きてきたふたりは最初から深いところで共感しあっていたのだと感じる。
家の中がだんだんとラブリーな絵に占拠されていく感じが、モードの愛が頑なだったエベレットの心を溶かしていく様を表しているかのよう。
決して卑屈にならず、誇りを失わず相手への敬意を忘れないモード。そのひたむきさに心打たれる。
「窓から見える世界は美しい色にあふれてる」窓から外を見るのが大好きなモード。ただ自分の好きな世界をまっすぐに見て、それを描くことに純粋な喜びを感じていたのだと思う。
身体が不自由で遠くに行けなかったけれど想像力で自由に世界を行き来していたのだろう。窓はその内と外を繋ぐツールだったのだろう。
やがてモードの絵は評判を呼び有名になっていく。けれど彼女の暮らしは何も変わらない。生涯、エベレットと暮らし始めた小さな家に住み、絵を描き続ける。
愛し合って夫婦になったわけではないふたり。愛し方を覚えながら少しずつ夫婦になっていくふたり。
森、雪、海と風景も美しい。
モードを演じたサリー・ホーキンスが素晴らしすぎる!
エベレット役のイーサン・ホークもとてもよかった。