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しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイスのKKのレビュー・感想・評価

4.0
幸せの形は人それぞれ。
タイトルとパッケージからは明るめな印象を持っていたが、予想以上に重そうな序盤で驚いた。

リウマチで、姿勢や歩き方が変な女性モード、歪な家庭環境であったのだろうか、対人関係にも難がありそう。
一方、家政婦を探す武骨な男エレベットは、自分中心に世界が回ってるが如く怒鳴り散らし、傍若無人に振る舞う。
そんな2人が出会っても、対立し、まともな関係にはならないと思っていた。
実際、初日は怒鳴り合い出て行かされた。それでも、もう行くところの無いモードは、再び働く。

何故モードが鶏を絞めれたのかは分からないが、そのおかげでモードは居場所を作れた。
小さな小屋だけだし、掃除するにしても一日はかからない。
そしてモードは絵を描いた。

リウマチで苦しんでいた女性が描いていたからなのか、数奇な人生を歩んでいたからなのか、それとも本当に素晴らしい芸術なのか。
芸術の善し悪しが全く分からない自分は、作品の価値は作者の人生ありきなのかどうかは知らない。だけど、モードの絵は、何かを感じる。
自分は、絵だけに限らず、作品というものはその人の歩んできた人生によって価値が付加されるものだとも思っている。


モード以外の親戚は、幸せじゃなかった。周りの人にとってモードは幸せになるはずがない人間だった。
だけどモードは誰よりも幸せを感じていた。幸せを手にしたのは、モードが行動したからなのか、絵という才能を持っていたからなのか、エレベットに出会えたからなのか。

人生なんて、いつどんな人に出会うか分からない。分からないからこそ楽しいのかもしれない。

サリー・ホーキンスとイーサン・ホークはやっぱり凄い。
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