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逆光の頃のQTakaのレビュー・感想・評価

逆光の頃(2017年製作の映画)
3.8
舞台は京都。
街並みも、坂道も、鴨川も、仏閣の建ち並ぶ姿も、そして夏の日差しまでも、すべてが素敵に見えてしまう。
そんな空気の中で、高校生の初々しく、眩しい日常を見る。
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原作がコミックということも有るのだろうが、重たいテーマは無く、すっきりとした青春ドラマになっている。
主人公、高杉真宙、葵わかなの二人が眩しいくらいに輝いている。
キャストも良かったのだろう。
そして、この映画の最大のポイントは、舞台であろう。
京都という、ロケーションの宝庫で、いったい何をどう撮るのか、見せるのか。
劇中には、まるで京都観光PR映像のように、街角から大文字焼きまで見られる。
その”The 京都”と称したくなる映像に負けずに、二人が演技を見せてくれる。
と言っても、劇的な場面展開が有るわけでも無い。
怪獣が出てくるわけでも、幽霊が出てくることも無い。
殺人も、ホラーも無く、熱く盛り上がる恋愛でもない。
この爽やかさを、京都の趣の有る街並みを背景に描くって、なかなか難しいと思う。
でも、そういうことをやってのけたのが、この映画だ。
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京都について、見るものが連想したり、受け止めたりするモノは、本当に人それぞれだと思う。
一度は訪れたことが有るという人は多いのかもしれない。
そこに在住したことがある人もいるだろう。
さらに、京都を含めた地域に在住の方も居られるだろう。
私は、幸いなことに、かつて一年ほど居住を得ることが出来た。
わずかな滞在ではあったが、その一年のうちに、春夏秋冬の四季を経験することが出来た。
鴨川の川面を眺めることも有ったし、仏閣を訪ねることも出来た。
街並みを歩き、少しながらその地の生活に触れることも出来た。
そういう時間を、この映画に見ることが出来たのが少しうれしかった。
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映画に見られた眩しさは、この若者たちの姿そのものだったのであろう。
その輝きの中に、はたして自らの姿を見つけることは出来たであろうか。
恐らく、その光を感じた時、そこに姿を見つけた時、それがこの映画の提示したものだろう。
そんな時間を過ごしてきた自分へのプレゼントを受け止めただろうか。
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