おでい

オーメン/オーメン666のおでいのレビュー・感想・評価

オーメン/オーメン666(2006年製作の映画)
3.8
かつて劇場で観たものの、新作を観る前に復習鑑賞。

オーメンの666になぞらえて、全世界2006年6月6日に公開したというリメイク版。
前作が1976年の映画だったので、30年振りとなります。
ちなみに前作でダミアンを演じたハーヴェイ・スペンサー・スティーヴンスがタブロイドの記者役としてカメオ出演していて、新旧ダミアンが一度に見られるというお得なリメイク版となっています。

オリジナル▶︎リメイクと続けて見ましたが、リメイク版は本当に純粋なリメイクで、悪く言えばそのまま30年後の世界観に焼き直した感じで、良く言えばオリジナルに忠実に再構築した作品で、個人的には変に味付けを施さず、純粋にオリジナルを再構築しようとした制作陣のオーメン愛を感じる映画でした。

オリジナルから連続で見ると、人の名前はそのまま、主人公の仕事も同じ、ストーリー展開も同じ、結末も同じという、よくここまでそのままに作ったなと関心できるほど。
ちなみに邦題は区別できるようにオーメン666とタイトルが支えられていますが、原題は両作共に「The Omen」となっていて、そもそも純粋に現代版に置き換えようとした意図も感じられます。

リメイク版では冒頭に彗星の接近が確認されるシーンが追加され、ヨハネの黙示録についての説明箇所が入るなど、よりストーリーを掘り下げていて、なおかつ出てくるアイテムはダミアンの三輪車がキックボードに変わっていたり、フィルムカメラをデジカメに置き換えるなど、現代版として馴染ませています。

また、オリジナル要素としては駐英大使への就任が、元大使の事故により仕組まれた昇格というのが、オーメンの本筋である悪魔の政治利用という理由付けがより明確となっています。

リメイク版は本編を超えないというのは映画の世界でのセオリーですが、今作は超える超えないというよりも、この時代のエクソシストと共に、悪魔系オカルト映画の金字塔とも言える作品をリスペクトし、風化させないように現代版として送り出したと感じられ、ザラついた映像で声楽の悪魔的なサウンドのオリジナル、映像も鮮明にゴアシーンもよりリアルにな現代版と、その人の選択肢としてどちらもアリという感じになっています。

今作のリメイク版では主役となるソーン夫妻が少し地味な感じに思え、それはそれで全編通して救えないダークな感じを醸し出すには良かったのですが、やはりパッとしない部分は拭えませんでした。
あと、ラストのダミアンが振り向くシーンはオリジナルからの踏襲ですが、あちらはものすごく自然な感じだったのに(ダミアンの微笑みは実は笑うなと言われてたのに、本人が笑ってしまったNGが採用されてるので自然なのは当たり前)、今作では取ってつけたような感じに思えてしまったのが残念だった位で、他は十分楽しめました。