Kellie

ジェイン・ジェイコブズ ニューヨーク都市計画革命のKellieのレビュー・感想・評価

4.0
おもしろかった!

人口密集地域としての都市。都市計画は、混沌としたものを新しい画一的なもので整理する。うまくいきそうに思える。しかし、これはデスクトップなら成立しても、多様な生き物の集合体である都市においては逆に作用する。つまり、個性を隠し、地域住民の交流を妨げ、かえって安全性を減じた。アメリカの中核都市における公営住宅が、晩年は入居者の所得制限によりアフリカンアメリカンの収容施設同然になり、隔離された低所得者の負のエネルギーが地域をいっそう傷つけ、荒廃させた。若者は居場所の無さに苦しみ、また60年代の市民活動の拡大も乗じて治安が悪化したことはこれを裏付けている。
都市計画を進めれば政治家とディベロッパーは儲かる。が、そこにずっと住み、これからも住みたいと思う人達は奪われるばかりに見えた。

映画終盤、中国のロケシーン。日本の感覚では考えられない数の高層マンションが建設ラッシュ。車で横を走っても、どの建物が自分の家だかわからない。「彼らは将来のスラムを作っている」という評論家の言葉がズドンとくる。


東京にはたくさんのタワーマンション。
コンクリ寿命は一般的に60年。
今後も急に子供は増えない。
たとえば20年後、2040年の社会保障費は推計190兆円。これはGDP比の24%で人口の1/3は65歳以上。
画一的な住居で、助け合えるコミニュティが育たないことは実証済。
もし大きな地震があったら、、、ゾッとする。

六本木の森美術館でやっている建築の日本展。東日本大震災後に作られた、コミニュティ志向型の住居展示があった。自然にも人にも優しくサステイナブルで、なんだか温かく感じた。いつだってそうだけど、事が起きないと人間って対処しない。
どこのどんな家に住む?ちゃんと考えなきゃ。
Kellie

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