Nella

デトロイトのNellaのネタバレレビュー・内容・結末

デトロイト(2017年製作の映画)
2.1

このレビューはネタバレを含みます

結論に引用したかったことを、結構以前に日本語のブログで読んだのですがもう探せなくなってしまいました。でも引用したいので、そういう前提で引用させていただきます。すいません。

「白人は悪くない!悪いのは白人の一部の、こういう特殊なサイコパスだけ!」という主張を白人女性であるキャスリン・ビグローがするのはどうなの…?って所なんだよね。ウィル・ポーターは撮影中にこの役が辛すぎて泣いてしまったそうですが(カワイイな)、「全ての白人の罪」を背負ったモンスターみたいな奴だもんね。可哀想に。
何度も言いますが「ストレンジ・デイズ」が大好きなんですけど、一部非常に薄気味悪く結構長めなレイプシーンがあるため、人に勧めにくい。そこさえなければロマンティックなラブストーリーで通るけど、「安易な恋愛物ではない」という意味ではわりと好きなんですよね。
でもレイプされた女性は他の女性の身代わりで、結局殺されてしまう。それもストーリーの都合上特に意味なくそういう目に遭う。キャスリン・ビグローはよくスリルを撮る監督だと言われるけど、被害者の気持を無視して物扱いするようなシーンとかもスリルの一環として撮ってしまう、良くも悪くもそういう人なんです。
だからスリルの一環として「黒人と女性を拷問するシーン」を無意味に長々と入れてしまう。現場の俳優さん達は有名なアルジェ・モーテルの事件を映画化するということで、当然、「人種差別や女性差別良くない!」という気持で臨んでいたと思う。それが出来上がってみたら、「サイコパスって怖いね!白人悪くないから」みたいになっていて、『誰が、何が』歴史的に差別に加担してきた結果こうなったのか、という視点が完全に抜け落ちている。結果的に、「黒人と女性拷問ショー」を長々と見せられただけみたいになり、そういうのが見たいという人にしか勧められない。このことは特に、アンソニー・マッキーとジョン・ボイエガは本当はどう思ったのか知りたいな(ジョン・ボイエガの役は別にいなくてもいいようなキャラだよね…)
後半の法廷劇は、裁判こそスリリングな題材なのではと素人的には思うけど、きっと頭脳的なスリルには興味ないんでしょうね。仕方なく撮ったみたいな退屈さが凄い。完全なフィクションだと言うなら、事実に沿おうとするより、大胆に脚色した方が良かったのでは?

悪役をやると心を病んでしまうと言えば「ブラック・クランズマン」でKKKの偉い人をやった方は鬱病になってしまったそうですね。確かに酷い役だった。無理はしないで欲しいよ。
Nella

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