まさやん

デトロイトのまさやんのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
4.0
これほどまでに大規模な暴動が、デトロイトで実際に繰り広げられたという事実に愕然とするけれど、

よくよく考えると、毎年のように(海を渡った日本でさえ)報道されるアメリカの警察権力のクソ体質が、50年経った今なお全く変わっていないということの方が衝撃なのです。

映画『es』で描かれたスタンフォード監獄実験を引くまでもなく、人間というのはやはり、力を持った瞬間から暴力に目覚める性質があるのだろうとつくづく感じます。

黒人とか差別どうこうよりも、暴力装置そのものに対する大きな大きな警鐘の意味を持った作品だと思いました。


これがGG賞からもアカデミー賞からも完全スルーされたというのが信じられないけれど、

うーんどうでしょう、多数の目撃者がいるとはいえ、そして和解に終わったとはいえ、全貌が未解決であるという事実に照らし合わせた時に、この作品で描かれた細かな描写に誰も責任を負いきれないという現実の壁が立ちはだかっているのでしょう。

だけれど、ここで表現された内容が事実であるにせよそうでない部分があるにせよ、こんな状況で無実の人間が痛い目にあわされたという過去はいくつもあって、その象徴としての「アルジェ・モーテル」であるとすれば、

後世に語り継ぐ意味は大きいのだと思います。

複数の主人公を同時的に描く構成手法もお見事、警察官役を演じたウィル・ポールターには個人的に主演男優賞を送りたい!

あえて言わせて貰うとすれば、"アカデミー賞級の" 素晴らしい作品でした!
まさやん

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