これ、うまく言えないんだけど、個人的に刺さった映画。吹き替えと字幕同時表示で。
フェミニズム談義が楽しい…独学で勉強してきたことが整理された感じ、ありがたいっす。
「あなた、生きることを拒否して人生を楽しめると思ってるわけ?」
妻のキャラが好き、学がある、めちゃくちゃ賢いけど、他人に対して失礼。こういうおばちゃん、現実で会うとめっちゃ苦手だけど!
社交クラブを覗き見、SMを思わせる懲罰、性的倒錯に目覚める妻、それに気付く夫、若い娘、いやー、よくできた描写…
奇妙な三角関係の始まり…
あ、これ、好みです。好みだわ。
感想を述べさせる、エロティックなはずなのに理知的に見せる演出。良い。すごい。
あの嘘発見器は、ワンダーウーマンの真実の輪か。と思わせつつ、ちゃんとドラマ内で成立してる…
女性から女性へのキス、ああすごい…彼女が好きだったのは彼女のほうだった、
『ワンダーウーマン』を否定する、狭量なオバさん…日本人の一部がイメージするPTAとかフェミニストのイメージって多分こういうのだよね…おっくれってるう…
「同性愛なんてアブノーマルなことを推奨するなんて」全て、全てモデルがいる、実際にあったことなのに、なんて愚かなんだ、深い悲しみを覗かせる表情が…良い…
そしてポリアモリーを提案する大学教授の夫婦、なんて話が早い、頭が良すぎるゆえの、なんて突飛な会話なの…すげえ…
そしてそのまま、ポリアモリーを持ちかける、ちゃんとオリーブのパートナーであるブラントンにも。なんてフェアネス! そうなのよね、ポリアモリーを行う際には相手に対してフェアであるように気を付けましょう、ってなにかの教本で読んだわ…お手本通り、手順通り…すごいな…
「思想は人を堕落させない、無知が人を堕落させる」心理学者もやべえけど、フェミニストの大学教授の舌鋒のパワーすげえな。
舞台で衣装を纏って三人でセックス、嫉妬はスパイス…いやー、ポジティブでエロティックで美しい愛の描き方! すごい! SMはロールプレイング、それをこんなに明快に!
しかし、大学にいられなくなって、キャリアは潰れ、彼女は妊娠…なんとまあ…
偽りながらの家族関係。ポリアモリー関係。
ボンデージを身に纏った彼女の神々しさに見とれてしまう、あの瞬間、すげえな。すげえわ。Mっ気のある彼女と、フェミニストでありながら彼女に嫉妬していた、Sっ気のある彼女。
これを倒錯的、異常に、スキャンダラスではなく、美しく尊いものとして撮る、ひたすら理知的に撮る、こういうひとたちも世の中にいる、と、ものすごく冷静に撮る、すげえな!! ありがとう!! わたし多分ずっとこういうSM映画を見たかった!! 性欲と暴力と支配と服従と、全部違うということ、別に倒錯や背徳ではないということ、背徳や禁断、タブーだから惹かれるんじゃないということを…クリアに見せて欲しかったんだと思うの、すげえわ。
女性ヒーロー。女性たちに心酔した彼だからこそ描けた、ヒーロー。ワンダーウーマン。すげえな。フェミニズム運動の嚆矢となって、コミックの地位を向上させる、志が高すぎるなと言われながら、ヒットを飛ばす。
…日本でこういうこと…は、起きなかったのかなあ…なぜだ…?
そうなのよね、好ましい権威に服従するのは快感である、だからこそ、自由からの逃走が起こるのよね…自由の国アメリカにおいて、それは必要な指摘だったかも。
他者からの糾弾、ポリアモリーの終わり、子供達は驚くほど真っ当に育っていて。
思い上がりを認める妻、なんとも潔く。我々はもはや大学教授ではない、ただの秘書であり、彼はコミック作家であり、あなたは何者でもない…割りを食うのは、夫婦関係ではない彼女…つらっ。
楽しそうにコミックを燃やす人々…作品は血肉、人生そのもの、愛する彼女たちそのもの、身を切られるように辛い…そして涙ながらに訴える、「我々を裁けるとでも?」
この伝記映画が作られる時代になったこと…すごい…いまでは当たり前…当たり前なんだよ…こういう家族はいるんだよ…すごい…
死ぬ前に愛する二人の女の幸せを願う彼…すげえよ…同性を愛する感情は恥じることじゃない、恥じる気持ちは子供達にも伝わってるという説得、あまりにもすげえよ…
夫婦ふたりして彼女に対して跪く、この関係性の逆転!! 鮮やかな…
SM、DISC理論、物語の定型を、ポルノではなく、人間関係、愛情関係に落とし込んだ、すごい、すごい…いや、こんなのはありふれてるのかもしれないが、意識的に見せてくれたのが…嬉しい…
博士の女性蔑視的な一面も描いているし、彼の一連の理論や創作物は自身の性癖を肯定したくて生み出されたのか、それとも、という点を描いたのも良かった。
見て良かった、しみじみ。すごい映画だった。返す返すも、映画『ワンダーウーマン』のヒット、おめでとう、良かったねえ、やったね! いやすげえ…
日本の女性ヒーロー、たとえばセーラームーンも、こういう存在、日本のフェミニストのアイコンに、なり得るのにな…なってるのかな…いやでも、そういう視点がまだまだ欠けているよね、やっぱり…なんて、もったいないんだろうな…
映画の出来としては、台詞が説明的すぎるだろう、とか、ツッコミどころはあると思うんだけど、個人的には、ものすごく、「わかる」「理解できる」映画だった、これ以上、感情面にも訴えられたら大変だったと思うので、伝記映画で、これくらいの情報量で、私にはちょうど良かった…です。
監督の次回作にも期待…したいな。ものすごく勉強家でパワフルな監督だと、作品からも特典インタビューからも伝わってきたので…同様のテーマをいろんな角度から深めていってくれたら嬉しいな。