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グッバイ・ゴダール!のyonemakoのネタバレレビュー・内容・結末

グッバイ・ゴダール!(2017年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

時は1967年、最初の妻で初期の作品で主演を務めたアンナ・カリーナと別れたゴダールは、新しいミューズ、19歳のアンヌ・ヴィアゼムスキーに出会って恋に落ちる。ゴダールは37歳、『中国女』の主役に抜擢されたアンナは哲学科の学生。アンナは若く何も知らない。でも父は亡命ロシア貴族で、母はノーベル賞作家フランソワ・モーリヤックの娘ということで、どこでも注目される。ゴダールはそれを引け目に感じている。年の差もあるので、ある日自分が捨てられるのではないかと密かに恐れている。

ここで描かれるのは、ゴダールがいかに小さくて、つまらない(頑固な)男だったか、という部分。もちろん、話はそんなに簡単ではない。1968年の重要性もある。どこへいっても初期の傑作3本(「勝手にしやがれ」「気狂いピエロ」「軽蔑」)を褒められ、またああいうのを作って欲しいと言われる。いわゆる「政治の時代」に「ジガ・ヴェルトフ集団」として反商業映画を作り始めるものの、手詰まりになる。でも、頑固で小さいやつなので一度決めたことは変えられない。

女優としてベルトルッチ作品に出演するはずがゴダールが嫉妬心からそれを阻止する。別れるというと自殺未遂を図る。大人になって色々ものが見えてきた彼女が自分が素晴らしいと思ったゴダールはどこへ行ってしまったんだろうとなる。80年代後半からは作家として活動したアンヌ・ヴィアゼムスキーの自伝的作品。大作家の孫として作家の目でみていて、味わい深くてほろ苦い。超イケメンのルイ・ガレルが髪の毛を薄くして別人みたいな変貌ぶりも見どころです。
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