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グッバイ・ゴダール!のNMのネタバレレビュー・内容・結末

グッバイ・ゴダール!(2017年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

大スターのゴダールと結婚した20歳のアンヌ。そのハードな結婚生活を、暗くならずに明るくおかしく、おしゃれに描く。

ゴダールと結婚なんて素敵だろうなと思いきやとんでもない。
確かに刺激には事欠かないが、その頃からゴダールは思想が過激化していき自身のこれまでの作品を否定、しかし同志らから完全に受け入れられた訳でもなく、独自路線を歩む。必ずしもみんなからちやほやされる生活ではなくなり、嫌な思いもするように。
ゴダールは他人と協調するのが下手で、感情を上手くコントロールできずあちこちでぶつかり度々肩身の狭い思いをする。
更に若く美しいアンヌがいずれ自分を捨てると思い、いつも愛を疑う言動を取りアンヌを傷付ける。
後で謝るので毎回許してしまうが、成長してきたアンナは徐々に自立していく。

ゴダールの不器用過ぎる愛に翻弄される様子は、アンヌ、早くグッバイして!と応援したくなる。
おもしろおかしく描かれてはいたが、最後は流石にかわいそう。

35歳を越えたゴダールはすっかり自信を失っていて、他人を攻撃する言動を取りながらも彼らにすがってもいる。愛情が返ってくるわずかな可能性にかけ、返ってこないと相手を否定する。それが分かるのかアンヌも寛容にならざるを得ない。歳上というよりは母性愛でひたすら耐え許す。しかしあまりに自分を犠牲にする愛は長続きするケースは少ない。ゴダールであっても、普通と変わらない恋愛だったと思えた。

60年代のお洒落な部屋と服、何よりヒロインのマーティンが美しい。日本人には特に好まれそう。何を着ても、着なくても、完璧な美。

ゴダール好きにとっては作品の要素が散りばめられて嬉しい作品だし、全く知らない人が観てもそれはそれで関係なく面白い。

個人的にアンヌがモーリヤックの外孫であることを初めて知ったので驚いた。

メモ
シェイラ……壁にある張り紙。60年代を代表する歌手。

Gene Kelly/ I like Myself……映画館で流れている曲。
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