それまで終始アニメーションのキャラクターが語り部を担当する構造に観客が慣れ切ったところに、突如「わたしが本人です(ズバーン！！！！」と実写の生存者が登場する演出。
お前これがやりたかっただけだろ！？と画面にツッコミを入れつつ、してやられた感で一杯ですが、ロトスコープならではのユラユラした動きと真っ白い背景は、凄惨な事件に巻き込まれながらも、どこかふわふわした白昼夢を見ているような当事者達の心情をあらわしているようで、非常に効果的な演出だったのではないでしょうか。
何度となく映像化、もしくは題材として扱われたテキサスタワー銃乱射事件を、あえて犯人側の視点を排除し、被害者や当事者の証言のみで語っていく本作、ドキュメンタリーではありますが、非常に良質なサスペンスを見ているようで、全く退屈することなく最後まで鑑賞できました。
こんなに良質な作品が本日で配信終了するのは非常に残念ですが、映画との出会いは一期一会。滑り込みで本作に出会えた幸運に感謝します。
