きのこ

あさがくるまえにのきのこのネタバレレビュー・内容・結末

あさがくるまえに(2016年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

臓器移植がテーマの作品って、わたしを離さないでくらいしか観たことなくて、しかもあれってこういうテーマの中でもかなり特殊な部類に入ると思うんですけど、わたしあの作品大好きで、観賞後に速攻本屋行って原作買ったくらいはまって。
今回のはどうかなあ、臓器移植の話ってことしか知らないしなあ、と思って観に行ったのですが、好きでした。

わたしを離さないではとにかく切なくて、人って、生きるって、生命って、運命って、心って…と見終わった後の余韻がすごくて、フィクションだけれど、ずっといろいろと考えてしまう。
終わり方も、臓器提供者としての人生を受けれて変わることはできないということで結局絶望(とまではいかない?)しかなくて胸が締め付けられる。
あさがくるまえには、現実にありえない話ではないから感情移入しやすいし、とてもリアル。
そしてこちらの終わり方は、提供者も、受け入れた側も、その先に希望が残る。

セリフはほとんどないけれど、感情の変化の魅せ方がとても丁寧なので、淡々とした2時間でも飽きることがない。
むしろ、飽きて見落とすなんてことをするのがもったいない。

ポスターのシーンがすごく印象的で、そのシーンを観たときどういう感情になったかはちょっと上手く言えないのだけど
感情爆発して涙が出そうというか、胸が苦しいけど気持ちは爽やかというか、もう何言ってるかよくわからないわ…ごめんなさい…(;_;)
この担当医師?コーディネーター?大好きだ。

わたしを離さないでは提供者側に視点を当てていたし、こういうテーマだとどちらかに視点を絞ると思うのだけど
全員に焦点を当てて、でも主観的にしたり主張するようなことはなくて
だからなんか入りこみやすくて、よかった。
コーディネーターの視点が見られるのもよかった。
医療のために!!!とかではない感情を感じられた気がした。

サーフィンの波や水中の映像が
シモンに寄り添って眠る両親が
彼女がシモンのために涙を流すのが
ポスターのシーンが
心臓を切り取るのと移植する瞬間が
大好き。

なんだろう、一言では言い表せないし、わたしの頭では時間をかけてもちゃんとした感想は、きっと言えないけれど
映像も感情も、とにかく全てが美しくて、深くて、絶対に観て損はない映画だと思った。
きのこ

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