そもそも台詞が少なく、主人公の表情や情景で心理を描いていく作品だが、後半になるとほとんど台詞がなくなるというもはや挑戦的とも言える作り。
ストーリーは、バレエの本筋から逸脱してしまった主人公の挫折と復活といったものだけど、上記にも書いたように台詞がとにかく少ないから細かい背景はわからない。
けど、それでいいのだと思う。この作品に求めるのは、古典バレエの、コンテンポラリーの、そして即興の踊りの美しさだ。
身体のしなやかな動き、人の根源的なダンスへの欲求。数少ない家族の団欒風景で、音楽に合わせてみんなが好きに踊り始めるシーンもクラブでのシーンも、つまりはそういうことだろう。