なしの木

シェイプ・オブ・ウォーターのなしの木のネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

人外好き!!!人外と孤独な女性の恋観たい!!
意気揚々と映画館に向かったのですが……

クリーチャーが怖い
口が人間ぽくて、仮面ライダーとかの怪人に見えて感情移入しにくい
水から出てくるクリーチャーがめっちゃ怖い
クリーチャーが強い。強すぎる。
いくら美しくても意思疎通がはかれるか怪しい猛獣に至近距離で餌を置く?自分には無理。感情移入出来ない。
人の指を食いちぎり、猫の頭を噛み砕くクリーチャー怖い。泣きそう。モンスターすぎる。
てか猫かわいそう。泣きそう。猫は殺さないで。
にしても1つ思ったのは、クリーチャーは半魚だから魚が猫を食べたってこと。もしかしてそういうウィットなの?にしても頭からバリバリはいかん。食べるなら魚に……それだと共食い?でも魚は魚食べるもんだから、クリーチャーの主食は魚でいいよもう。

監督はキスできる口、とパンフレットのインタビュー内で語ったけど、人間に近い口は萎えた。そこはクリーチャーを貫いて、どんな感触なんだろうって思える口にして欲しかった。魚ぽいとかカエルぽいとか爬虫類ぽいとか。口が人間ぽいと、喋れそうに見えてしまうし、人が入ってるんだなぁって思えてしまうから。仮面ライダーぽいし。

それとイライザが喋れない理由として喉を切られた?みたいな事のようだけど、声帯を頸の外から傷つけようと思ったら頸動脈切れて死ぬ。あと幼少期の傷は大人になったら広がって変形してあんなまっすぐな赤い線にはならないだろうと。ファンタジーにそんなこと言うべきじゃないのはわかってるんだけど。

イライザのセルフのシーンには驚いた。え?今のって……?と理解するのに時間がかかった。責めてる作品だなと。ただこれが彼女のルーチンとして示されることで、とにかく彼女の生活が単調であると強調されていたのはよかった。それに彼女が性の知識のないネンネではなくて、そこは大人なんだと示したかったんだと思う。バスルームをしばらく使えなかったから性的な欲求が高まっていたっていう伏線にもなっていたし。

それにしても残酷描写が多い。拷問し過ぎ。悪役怖すぎ。腐ってシーンが進むほどに黒くなっていく指が、黒く歪んでいく悪役の内面を表現してて秀逸。でも膿が出たりしてしんどい。普通あそこまで黒くなったら指自体が萎縮してシワシワにならない?動いてたし。もう動かす神経死んでるでしょう。それに指二本神経と血管繋げるのに3時間じゃ無理じゃない?しかも当時の医療技術で、最初からこりゃ腐り落ちるか敗血症で死ぬかなって思った。クリーチャーの口腔内の雑菌によって死ぬのとか有りかなと指にマスタードが付いてたってのは笑えたけど。イライザが指輪を後から返したのはどんな意味があったのかなぁ、わからなかった。あと痛み止め飲み過ぎ。博士の拷問もしんどい。あそこまでやったら拷問の意味無くない?喋れなくなっちゃうよ。死ぬの早めてるだけにしか見えないし。博士も、最後まで科学者としての矜持を保って死んで欲しかった。あそこで博士が言わないで、他から情報が漏れるようにすると話のテンポが悪くなるのは否めないけれども。なんの罪もない警備員さん殺しちゃったあたりからやだやだ人に死に過ぎ死ぬのは悪役1人で十分よ〜と逃げ出したい気分になった。

残酷描写が続くから悪役が最後はどんな残酷な方法で殺されるのかと身構えていたら、イライザとお揃いの傷で声を上げることが出来ない状態にされて死んだのはいい隠喩だと思った。それとキャデラックの端っこが潰れたのが、彼の傷ついたプライドや壊れた心(修復不可)を象徴していて好きなシーン。彼が家庭では問題のない父親をやっているところがまたゾッとするところ。ブロンドのお人形みたいな奥さん(お胸出すのが衝撃!最初作り物の何かかと思った)と可愛い子供には暴力を振るってない(奥さんが暴力シーンの多いテレビは嫌だと言っていた)様子だったけど。

部屋を水浸しにして愛し合う2人を優しく見守る隣人が良かった。きっと2人の絵を描いて、有名な画家になっている事を信じる。

というか、画家の1人語りで始まるこのお話は、画家の作り話とも取れる。半魚人と女性の絵を見てこんな話をされたら即買う。

苦手な部分が多かったけれどまったく飽きのこない、衝撃的な映画でした。
なしの木

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