愛

シェイプ・オブ・ウォーターの愛のレビュー・感想・評価

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その対象が人であれ物であれ何かに依存するということの不確かさや不安定さは、次第に心の所在も生産性も失わせる。宙ぶらりんになった自分を俯瞰し、鎖で繋がれたままただ浮遊する。

雁字搦めは己で解せると気づく頃には既にボロボロで、「この世は生きづらい、誰も私のことなんてわからないしわからなくていい」と、今度は深い海の底でひとり静かに眠り続ける。たまには月を掬いに少しばかり上昇してみると、日光も浴びてみたくなる時がくる。

毎日漂流ゴミを見ていると次第に「気にしない、期待しない、拘らない」と割り切れるようになり、地上で生きてみようかと踏み締める。少しは上手く呼吸ができるようになり、自分のあしで、ひとりで立てるようになる。ひとりでも大丈夫になる。

それでもなお、求められれば応えたくなり、昔の自分を見れば融いてあげたくなり、眩しい愛を目の当たりにすれば渇求したり、いや須臾の夢だと言い聞かせたり。

コントロールするか否かできるか否かは置いといて、持ち合わせている愛と狂気は皆同じなのだろうか。紙一重なのだろうか、併存するものなのだろうか。

#The Shape of Water
愛