福福吉吉

シェイプ・オブ・ウォーターの福福吉吉のレビュー・感想・評価

4.5
◆あらすじ◆
1962年のアメリカ、発話障害のあるイライザは政府の研究所で清掃員として働き、孤独に生きてきた。ある日、イライザは研究所の水槽に入れられていた魚人(※)と出会い、意思の疎通を始める。イライザは魚人に好意を持ち始める一方、魚人の責任者の軍人のストリックランドは魚人の解剖を実行しようと話を進める。

※不思議な生物の名称が不明なので「魚人」としてレビューします。

◆感想◆
発話障害の女性と魚人のラブロマンスを描いた作品であるとともに、魚人の存在で優位に立とうとする米ソの争いを並行して描いた作品でもあり、軍の冷酷で緊迫感のある展開とラブロマンスの温かい展開が交互に観ることができて上手く緩急がついていました。

主人公のイライザ(サリー・ホーキンス)は発話障害を持ち、研究所の清掃員として勤めるも恋人のいない寂しい日常生活を送っていました。そんな中、研究所の水槽に魚人を発見し、魚人と意思疎通をし始めます。この2人の交流が非常に可愛らしくて観ていてほのぼのとしました。

一方、魚人を研究所に持ってきた軍人のストリックランド(マイケル・シャノン)は電撃など暴力を持って魚人を従わせようとし、やがて魚人を解剖して軍に役立てようと考えます。彼にとって魚人は利用する生物でしかなく、その冷酷さがずっと言動に現れていました。マイケル・シャノンの憎らしい演技が光っていました。

そこからストーリーはイライザの恋の行方と魚人の生命の行方にシフトしていき、前述のとおり緊迫感と温かい感じが入り混じった展開がとても面白かったです。

また、イライザの数少ない仲間として、隣人のジャイルズ(リチャード・ジェンキンス)や同じ清掃員のゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)がイライザに力を貸します。その姿はとても心強くて頼もしく感じました。困ったときに力を貸してくれるのが本当の友達だと思いました。

魚人のデザインは一見、グロテスクに感じましたが、イライザと親交を深めていくうちに愛らしさを感じるようになりました。

性行為を含めた表現については意見が分かれそうですが、自慰行為や抱擁について性的欲求を伴う孤独感の解消という部分で、生物の本能的な部分をぼやかさずに描き切っていて良かったと思いました。

新しい愛のカタチとスリリングなストーリーが相まってとても面白い作品でした。

鑑賞日:2024年3月6日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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