Kyle

シェイプ・オブ・ウォーターのKyleのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

2024/03/13 鑑賞

幼い頃からずっと人魚が大好きなんだけど、丁度この映画が公開された頃は『ゆれる人魚』とかも公開されてて、人魚映画特集みたいな記事とかがあってすごく気になってた。ギレルモ・デル・トロ監督が手がけるファンタジーなんて絶対間違いないし、ずっと観てみたかったからアマプラで観れるようになっててびっくり&喜び。

冒頭から一気に物語世界に引き込ませてくれる所からデル・トロ監督の雰囲気を感じれて、最高に良い。

物語に登場する人々が社会的にマイノリティとして扱われてしまう人々や、心や身体に多様に問題を抱える人々であることがとても興味深かった。キャラクターの描かれ方がとても生き生きとして居て、とても当たり前に存在していて、現代社会への問題提起というよりも、監督が彼ら彼女らに対してどんな眼差しを持っているのかを提示してくれているのを感じて、とても好感が持てた。

特に、ユーモアを交えてイライザのような女性の性生活を描いていたのがとても印象的だった。ジャイルズやゼルダとの会話もおかしくて笑った(笑)。私は正直、あのシーンがすごく嬉しかったというか、安心したというか、ありがとう!ってなったんだよね。男性の性消費は当たり前のように問題提起されるけど、一方で女性の性や欲についてはかなり透明な扱われ方をされている気がしていて、タブー視すらされているように思えて、なんとなくモヤモヤしてるから。男女関係なく、もっとフラットに性について知ったり話したりしたいし、そういう環境って大事。

あと、自己と他者との間の重なる部分とそうでない部分をどう適切に認識するか、についても改めて考えさせられた。イライザが言うように、本当の自分を見てくれている人というのは、彼女のことを可哀想な目で見て気遣うことではなくて、一人の人、個人として認識して接してくれる人のことであると気付かされる。

最後の展開が思っていたよりもあっさりしていたり、登場人物や扱っているテーマが現代社会に寄り添ったものであることで、敢えて完全にファンタジーの雰囲気にしきらない感じ(『パンズ・ラビリンス』的!)がとても良き塩梅で、ギレルモ・デル・トロ監督の妙を感じた。
Kyle

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