まつのまつ

シェイプ・オブ・ウォーターのまつのまつのネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

鬼才ギレルモ・デル・トロ監督作品。今回は大きな賞を受賞しているが、いつも通り作品ごとに合う合わないが分かれる作風。
今回は自分の好みには合わなくて残念。ただし、全体としてクオリティの高いウェルメイドな作品に…なっているかな…。

観客の生理的嫌悪感に触れるかどうか、というかギリギリでペッタリ触れてくる、あい変わらずのクリーチャー造形(褒め)。半魚人のデザインは70年前の、大アマゾンの半魚人とほぼ同じだった。

テーマとしては異形との恋、となるが、世界でも昔から今までよくあるテーマだし、日本のコンテンツでも良く見る、手垢の付いたストーリー運び。昭和の円谷作品かと思った。
だがそこはギレルモらしく、音楽、小物、美術、性的描写まで、グロテスクさとそれらへの愛情を惜しみ無く表現し尽くしている。

肝心の物語だが、半魚人と主人公がお互いに惹かれ合う説得力に欠けていると感じた。
半魚人が傷を癒やす能力を持っているのもありがちな割に、ストーリーに組み込めきれていない。
深読みすると、ラストシーンで半魚人は主人公をあえて助けず、海の中で永遠に自分のものとしたとも考えられる。…という深読みまでしないことには、美しいが安直なラストに消化不良を起こした。

万人にオススメはしない作品。