Votoms

シェイプ・オブ・ウォーターのVotomsのレビュー・感想・評価

4.0
怪獸の戀愛活動寫眞、とでも呼べば良いのか。

はつきり云ふと、面白かつた。何とも懷かしい氣持ちになるやうなノスタルジツクな音樂と演出、半魚人の造形、いづれをとつても最近の戀愛活動寫眞ではなかなか見かけないものなのではないかと思ふ(そこまで戀愛活動寫眞に詳しいわけではないが)。

主人公の女性は凄く美しい、といふわけではない。而して半魚人の造形も、見るものによつては氣色惡さを感じる人もゐるだらう。さうした貳人の戀愛模樣をここまで「美しく」描いた作品はなかなか見かけないのではないか。福田恆存は『私の幸福論』p.22にかう書いてゐる。
「私の考え方には救いがあると思います。私は「とらわれるな」といっているのです。醜、貧、不具、その他いっさい、もって生まれた弱点にとらわれずに、マイナスはマイナスと肯定して、のびのびと生きなさいと申し上げているのです」
私の感性でしかないが、此作品にはさうした精神が傳わつてくるやうに感じる。
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