shiho

シェイプ・オブ・ウォーターのshihoのレビュー・感想・評価

3.9
映像の質、光彩、美術、音楽やカメラワーク、俳優陣、そういうものは確かに一級品。

魚人のデザインは「かっこよく魅力的に見えるようにセクシーにした」的なことをインタビューで監督が言っていたので期待していたんだけど、私的には(ボディラインはまぁ良いとして)うん…異質な生き物だしやっぱ顔とか声はちょっと気持ち悪いかなと思った。
これ人間が特殊メイク?加工してやってんでしょ?すごいね。
ただ水に入っていく時のモーションがまんま人間だったので、そこに人外感が欲しかった。
そんなのとも交わりたいと思うのだから、やはり愛情の極みはセックスになるのだろうかとも考えた。

初めて動物と意思疎通出来たとか外国人と話せたとかそういう喜びとはまた違うのだろうか。
一人ぼっちの彼を自分が救い出すという使命感で愛情が深まったんだろうか。
それって動物と何が違うのかな。

黒人差別バリバリの冷戦時代設定もあるし、孤児で話せないという社会的マイノリティの彼女が、魚人との間ではそんなフィルターの一切ない完全なる「個と個」であったということだろうか。だから相手が人外設定だったのだろうか。(追記)

私のかつての同僚で胡散臭さ全開のチャラ男がいたんだけど、皆で「好きな異性のタイプ」の話をしていた時、彼は「そこはフィーリングでしょ」と言っていたので(笑)、まぁこのカップルもそんな感じなのか、理屈ではないのかなとも思った。

イライザ(主演女優さん)はすごく美人とかじゃないのに存在感があって、声を出さない表情と身振り手振りだけの演技をヒロインとして見事に演じきっていた。
私だったら「スリービルボード」の方よりこっちの方に主演女優賞票入れるかなぁ。
特に、隣人の友人に「では私は何?」「彼を助けなければ人ではない」と手話で伝えるシーンは鬼気迫るものがあった。
手話で「ク・ソ・や・ろ・う」のところも良かったかな。あと裸体が綺麗だった。

同僚の優しい黒人女性が素敵だった。トイレ掃除のシーンの台詞笑った。

ミュージカルシーンは唐突で微妙に感じたけど、まぁ恋してる時や愛情ここに極まり!って時ってこんな気持ちになるかなぁとは思った。

これを果たしてLOVEと呼ぶのか、究極の愛の形とかではなく、一人ぼっちと一人ぼっちが巡り合って二人ぼっちになって幸せな世界へ行ったというお伽話(ファンタジー)のようにしか思えなかった。
ただ、水の中で抱き合うシーンは幻想的で美しく、別に水中でなくとも、世界の中でお互いだけって気持ちでこんな風になれたらそれはすごい幸福感だろうなと思った。お幸せに。

総じて観賞後の気分はあまり良くない…。
観るときの体調にもよるかも笑
(私ちょっと疲れてた笑)
なんか、パンズ〜よりこっちの方が生理的に受け付けなかった感があるな。
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