このレビューはネタバレを含みます
ほんとにネタバレ注意です。
雰囲気がいいとか話が美しいとか、マジでそうなんだけど、でもこの際それはいいんだよ
みんなさ〜〜〜!あんま誰も言ってないみたいだけど!!気づいてないの???
いい?「水中」と「陸上」の2つの世界がある中で「陸上」の方にいる、声を失った人間…ってさ
それ「人魚姫」なのよ
わかる?イライザが結局もともと海から来たものだった、ってのはまあ最後にわかることだけど、それってだからつまり、それまでのイライザの人生ってぜんぶ「人魚姫が美しい声と引き換えに陸上に出ている状態」だったわけで
ほらそう思ってみるといろいろ考えさせられるでしょ?
この話、ただ人魚姫をなぞってるんじゃないのよ。「設定のある部分は人魚姫と真逆で、またある部分は人魚姫と同じ」ってところが面白い。
本来海にいるはずの人魚姫が陸上で暮らし続けるっていうのは不自然なことで、でもそれを生まれてから今までずっとやってきたのがイライザ。
そんな中、陸上ではなく水中に「王子」が現れる。恋に落ちる。
で、そこからはまあ、いろんな障害を乗り越えて、
最終的に2人は海に還る!もうね、元の人魚姫と比べたらいいことずくめよ?2人とも「本来の、不自然じゃない居場所」で結ばれるわけだし、
陸→海だったら苦労して脚を手に入れる必要もない。
などなど、最終的に人魚姫のネガティブな設定だけを全部逆にした状態になるのがこの作品。そら〜〜文句なしにハッピーエンドになるがな…ハッピーの暴力やで…
でもただ唯一、海にいる間の人魚姫は声を持っているはずなのに、イライザが声を取り戻すような描写はない!ネガティブな設定じゃないか!
とお思いか?
水中のための"声"ならもう持ってんだよ、王子が見よう見まねで習得してくれたじゃんな?