叡福寺清子

ドローン・オブ・クライムの叡福寺清子のレビュー・感想・評価

ドローン・オブ・クライム(2017年製作の映画)
3.4
ドローン映画に外れなし.と言い切るにはまだ視聴本数足りませんが,ドローン・オブ・ウォー.アイ・イン・ザ・スカイ.そして本作ドローン・オブ・クライムといずれも佳作で,大変好ましい.こんばんわ三遊亭呼延灼です.
訪ねてきた男は実は・・・の物語ですがアクション皆無.そっち方面を期待されますと著しい肩透かしに遭遇いたします.惹句もよくないのですが.
コラテラル・ダメージなんてカタカナにすると印象が薄れますが,ようは巻き込まれて死亡.遺族は報われませんよね.しかも相手は1000km離れた空調の効いた何の危険性もない部屋にいるのですから,イミルさんの気持ちはいかばかりか.
日常に突然死が訪れるのはパキスタンだけの話ではありません.父親(祖父)の病死.息子シェーン君の学校で起きた銃撃事件,特に前者については家族に大きな影響をあたえました.存命だった頃の父親と彼の死に向き合えず弔事のアイデアすら難航するニールの姿を見た時のイミルさんの気持ちはいかばかりか.
でも私が作中で一番怒りを覚えたのは公園にいるイミルさんを犯罪者のように追い立てたグリンゴのデブオヤジでした.露骨な人種差別意識はいまだにグリンゴに根付いているのでしょうか.イミルさんはおとなしく引き下がりましたが,なにかのトラブルになってポリスマンでも来たら事情も聞かずにイミルさんを逮捕するんでしょうね.酷い話です.
ペンタゴン・ペーパーズでは正義の為に極秘文書を持ち出した行為を批判しましたが,本作におけるCIAの行為だって正義の為に行われた違法行為であり,ラストの『内部告発者の存在が国民を危険にさらします』という声明は,お門違いだ!このド阿呆と噛み付くのが正しい行為だと判断いたします.