ペコリンゴ

種子のペコリンゴのレビュー・感想・評価

種子(2016年製作の映画)
4.0
記録。
続く我が子の鼓動

たった16分でしっかり1本の「映画」を観せてくれる中国の短編。シンガポール出身、若き監督の才能溢れる逸品。

とある夫婦がある思いを胸に訪ねた家。
迎え入れてくれたのは6歳の息子と二人暮らしの女性。

降りしきる雨。

家の中の節々に溢れる生活感。

複雑なそれぞれの感情が交錯するテーブル。

そして幼い息子が描く夢…。

これはアレですね。
心の琴線に触れるって感覚ですね。

息子くんが頭に添えてあげる手。
小さいけれどきっととっても暖かい手。
凄く良い(語彙力はご勘弁)。

厳かなピアノの旋律と共に作品を彩るもはや劇伴級の雨音、説明的な台詞なんか無くても自然と入ってくる物語の運び。なんて無駄が無いんだろう。

役者さんの表情も大変素晴らしく、場面場面で想いが溢れまくってましたね。

切ないけど、悲しみを乗り越えていくプロセスの第一歩が描かれた良作。ちょうど梅雨時の今、こんな短編は如何でしょう。