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あゝ、荒野 後篇のNのネタバレレビュー・内容・結末

あゝ、荒野 後篇(2017年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます


わああああ…何と言えばいいか…

過去に縛られて憎しみをぶつけても
何も生まれないのに、それでも
何かを確かめたくて感情のままに
振る拳の重さと、
互いに真剣に向き合い、
正々堂々と振る愛のある拳。

それぞれの試合で、
それぞれの過去の苦しみ、恨み、
決心、愛がぶつかり合う姿に
思わずぼろぼろ泣いてしまった。

観れない!と思っていたけど、
後篇もちゃんと観てよかった。

*

後篇は、過去と人間関係が
入り混じって、それぞれ愛や自由、
平和を探していく過程がみれて、
前篇よりもはるかに観やすく感じた!

愛、自由、平和。
どれも言葉にするのは簡単だけど、
維持することや同じ方向を向く
難しさみたいなものってあるよね…


新次のお父さんの死に
健二のお父さんが関わっていても、
健二と過ごすなかで感じる人柄の良さに
「やっぱり違うよな。な、兄貴。」
と語りかける新次が印象的だった。

最後は試合で命を落としてしまったけど、
今までお父さんに受けてきた拳とは
全く違う、新次の魂のこもった拳を
真正面から受け止め続けた健二は
本当にすごい。お疲れ様でした…

*

こういう作品を観ながら、
いわゆる”悪い人間”なんて
本当にいるんだろうか…といつも思う。

健二のお父さんも、もしかしたら
幼少期に何かあったのかも知れないし、
一方の見え方はやっぱり一方だけであって、
色んな角度からその人を見ると、
その人の置かれていた環境が見えてくる。

日々その環境で過ごしていくなかで
気付いたら歪んでしまっていた、
みたいなことって自覚していなくても
何かしらはあると思う。どんなに善人と
周りに思われている人だって、
歪んでいる部分はあるだろうし…

ただ事実として、暴力は暴力であって
殺人は殺人であることには変わりないから、
悪いのは悪いんだけども…

とりあえず、みんな幸せになって
ほしいなと願うばかりです…!

*

あと「結婚式場が葬儀屋に、
ラブホテルが老人ホームになる」
というシーンがあったけど、
出逢い(喜び)が別れ(悲しみ)へ、
生が死へ変わっていくの、考え深い…

現実問題としてみても
結婚式を挙げない人が増えているし、
そもそも結婚をする人も出生率も
減少していっている訳で…

小学生の将来の夢で公務員が上位になり、
若い頃から老後の資金について考え
怯える世の中になっていることを考えると、
『あゝ荒野』のダークでヘビーな世界も
どんどんリアリティが増してきて
なんとも言えない気持ち。

もう少し夢見ていたいな〜と
思うのと同時に、今ある環境に
感謝しなければと改めて感じた。

*

最後に、この作品に限ったことでは
ない話をしてしまうけど、
後篇で新次がしてたような
現実逃避の無理矢理な交わり
(しかも事情も話さず了承も得ず)を
時折映画で見かけるけど、もし現実に
そんなことがあるとしたら物凄く
引いてしまうし、本当にこれだけは
映画だけのあるあるであってほしい…
と毎回思う。女性への扱いだけ、
作品だとしても許せなかった…ので-0.2!
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