ハナガサイタヨ

あゝ、荒野 後篇のハナガサイタヨのネタバレレビュー・内容・結末

あゝ、荒野 後篇(2017年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

23年 88本(劇場65本)

『僕はここにいる。ちゃんとここにいる。だから、愛してほしい。』

前篇と対になり後篇はバリカン健二の物語。
賛否両論必至のあのラストは心に重くのしかかった。

新宿新次の顔をスケッチする姿、例の包帯を大切に見つめるバリカン健次とそこでフラッシュバックする回想、ボクシングの知見は皆無なのに何故かバリカン健次に執着する二代目、そして極め付けは『あなたとは繋がれない』。
明言こそされていないものの、バリカン健次が同性愛者であると解釈する方が、必然であろう。

同性愛者であり、吃音症が原因でコミュニケーションもままならず、右翼等の標的になりやすい血筋を持つ、バリカン健次。
青年漫画的王道ヒーローである新宿新次とは、まさしく対極にいる存在。
新宿新次が赤いグローブを付けるのに対して、バリカン健次がチャレンジャーの象徴である青いグローブを付けるのもメタファーであろう。

そんなマイノリティと非差別の象徴とも言える、バリカン健次の最期と最後のセリフを観ると、物悲しい気持ちになる。
こんなラストで、前篇では謎だった自殺防止フェスティバルのストーリーが回収されることになってしまうとは、、。
前篇観た時はてっきり後篇では、バリカンの憎しみが爆発して無双するとばかり思ってたので^^;

ただ前篇と比べても深みのあるストーリーではあるものの、いかんせんとっ散らかりすぎではある。
作り手が、今の日本社会に対して色々不満を持ってることは伝わった。