社会のダストダス

アナと雪の女王2の社会のダストダスのレビュー・感想・評価

アナと雪の女王2(2019年製作の映画)
5.0
前作の凄まじいヒットで相当に上がったハードルに対して、正攻法で答えた続編という印象。ブルーレイで前作を鑑賞した後、劇場でやっていた時に観なかったことを後悔したので今回は真っ先に行ってきた。以下字幕版及び吹き替え版を観た感想。

今作から初めて観ても楽しめる作りになっている。とりあえずアナとエルサは仲のいい姉妹で、エルサには氷の魔法の力があり、アナには恋人のクリストフがいて、雪だるまのオラフはエルサの魔法で出来ているということが理解できれば問題ない。一応オラフが前作のあらすじを30秒くらいで説明してくれるシーンがあるが、前作を観た人にしか伝わらないだろう。

「アナと雪の女王」から3年が経過した設定の今回はエルサがメインの主人公で格好良いシーンがたくさん見られる。アナは見た目も大人びていて、オラフは文字を覚えたことで知性の向上を確認できる。クリストフはアナとの次のステップに踏み出すきっかけを掴めずにいる。

前作と比較した特徴としてはアナとクリストフにそれぞれフルでソロ曲がある。アナの曲は地に足がついた内容でエルサとの対比になっていて、クリストフの曲はすごく良いのにミュージックビデオ調の絵面で笑ってしまう(アップはずるい)。

エルサには予告やCMで使われている「Into The Unknown」のほかにも印象的な演出の楽曲があり、そちらはぜひ劇場で観てほしい。前作と比べて楽曲の印象が薄いという意見も見るので字幕派と吹き替え派では意見が割れるかもしれない。個人的には楽曲は英語版のほうがよりキャッチーな印象、吹き替えが悪いわけではなく英語版がただ単に神曲ぞろい。

ストーリーに関してはエルサの魔法の起源についてのお話。前作の冒頭で亡くなってしまった両親について触れているが、暗くなりそうなところをオラフが中和してくれているのでダークになり過ぎずいい塩梅にしてくれている。観終わってから今作にはディズニーヴィランといえる存在がいないと気付く、こういうアプローチもあるんだなと。まぁ、半端な悪役を出しても今作のエルサには瞬殺されるだろうが。そしてアナの強さがしっかりと描かれててよかった、特別な力が無くたっていい主人公になったなとしみじみ。

映像表現は意味が分からないほど凄まじく、秋の景色と水の表現は圧倒される。前述のエルサのもう1曲のミュージカルパートは映像進化のフルコンボで、前作の「Let It Go」に魅せられた人なら気に入るのではないかと思う。

これだけべた褒めしておいたけど、ストーリー構成に若干の違和感を感じ、予告ではあったのに本編に無かったシーンがあった気がしたので最近の大作映画の傾向から見るともしかしてエクステンデッド版なんかが…?
流石に考えすぎか