シネマスナイパーF

ライオン・キングのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

ライオン・キング(2019年製作の映画)
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完全に外側だけの映画になっちゃってるな
もふもふ可愛いだけ
親子の絆と同じぐらいムファサとスカーの関係性も深く描かないと、こういう貴種流離譚は話としての魅力が激減する


まず前提として、映像作品としてとんでもないものだということは確実
実写か?と言われるとCGアニメーションだけど、実際にカメラが可能な動きを最大限シミュレーションして物理的に可能な範囲のカメラワークを検証した、というこだわりから、やはりあくまでこれは実写映画なのかもしれない
最近の映像技術は凄くて、あらかじめバーチャルで架空の世界を作成して、その世界の中に物を配置してカメラを動かすっていうことまでできるんですね
とにかくCG映画のある種の到達点として価値ある作品であることに間違いはない


ということで、お話はどうなのか?
ライオンキングはどの形式でも観たことがなかったので、お話を新鮮に楽しもうと臨むことはできました
が、それが逆に仇になった気がする
お話、あまり楽しめなかったです

スカーがただ腹を空かしてたそれだけで王になったように見える
もうちょっと悪役を作り込まないとさ…
先述したように、ムファサとシンバの関係も大事だけどそれ同等もしくはそれ以上に彼ら親子とスカーの関係をこそもっと深く掘り下げないと、安い御涙頂戴になっちゃうんだよな
最近のディズニーの実写化シリーズは全体的にその辺詰め不足な気がするし、最早過去のアニメーション版の相対的高評価を誘発するような微妙な出来を意図的に狙っているのかと思うほど実写化に実写化以上の挑戦をしてこない脚本作りスタンスに見える
リアルを追求してしまった結果意外と狭くて小さい物理的世界観になってしまう問題も今更ながら共通してある気がしてきた

期待してたほどサークルオブライフな話じゃないし…
いつか自分を食すかもしれない奴に頭を下げる立場の連中がいるってことに関しての作品内のフォローがサークルオブライフってことで、なるほどムファサの話それ自体に説得力はあるが
それをシンバが心から理解して向き合ったという描写がないと、ただでさえギリギリ詭弁なサークルオブライフ理論を振りかざしてスカーに勝つというロジックを生めないし実際生まれていない
一方的に食うだけのスカーがサークルオブライフの反対側ですよってことなんだろうけど、残念ながらそこは描きこみ不足で浮かび上がっていない

毛玉が飛んできてそれ見てシンバや!!とかさ、リアリティラインとして他にもライオン沢山いるんだから無理があるだろう
頼むぜ〜


掴みはバッチリだった
太陽が1ミリ顔を出した瞬間ンナーーーーーってのは若干笑ったけど
もふもふ可愛いシンバを見て、ああこの子がいずれは立派になるんだなと思いを寄せて流れた涙が僕の中でのピーク

音楽は元が良いんだし良かった
ディズニー身内パロディは大して笑えるものでもなく…


これは予習せずに観に行った僕の失態です
話がどんなもんか知ってれば逆に楽しめたかもしれません
パンフレットはディズニー映画とは思えない素晴らしい出来です