Solo1968

ボヘミアン・ラプソディのSolo1968のレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
3.9
自宅で観て涙した。

涙の理由はずばり謝罪だ。

「母さん 僕は、ある男を殺してしまった、」という楽曲の出だしの歌詞でなく、本作での主人公
もう今は亡き英国の、いや世界史に残る偉大なるアーティスト
フレディーマーキュリーに対する懺悔の涙だ。


小学3年あたりで特に日本で人気のあったクイーンが、夕方のテレビ番組でビデオで紹介されていた映像が その時の自分にはKISSのジーンシモンズよりも 怖かった、。まだ同性愛やゲイというそういう存在すら、、いやまだ男女の性の仕組みすら学校でも習う前だが、画面に映るフレディーの衣装からは、お化けと違う 形容出来ない 近づきたくない怖さを感じた。

数々のヒット曲もリアルタイムで体験しているが、やはり幼少期のインパクトは大人になっても払拭出来ずにいた。

むしろ 何でこんなに人気があるのか?分からない。勿論楽曲やパフォーマンス、オリジナリティー
真似もできない存在感は、好みではないが凄いことは分かる、が好きにはなれない、それは繰り返しになるが、ファーストインパクトによるもの。

フレディーの訃報は当時リアルタイムで知り世界が悲しむその時も自分は至って冷静で、また偉大な一人のアーティストが去った、りという程度。まだエイズ イコール 性行為による感染、とかなり強引な解釈しかない時代でもあり、それ以前からカミングアウトをしていた事もあり、それもストレートに彼の感染 発病 死去
に対して 悲しみというより、やはり、怖さ が強かったのが正直なところ。

なので、音楽が好きな仲間らと話しても僕は決してフレディーを肯定する事は一切無かった。
むしろ、敬遠してきた。
ハードゲイまっしぐらのイメージで世界のファンを男女問わず惹きつけて心を離さない 理由がまったく分からなかった。


本作はとんでもないヒットをして、当然僕の目や耳にもその大フィーバーっぷりがすごい事だという事も入ってくる。

なんと言ってもフレディー役を演じた役者さんの役作りや、ブライアンメイ他のメンバーも本当によくぞ!と感心する役作りとキャスティング。そして、ライヴエイドのあのステージの再現度合いはファンでなくとも 一瞬で惹きつけられるはずだ。


ぼくがフレディーに対して懺悔の、本人は僕なんぞ知りもしないのだけれど、僕個人のある一面しか知らずに毛嫌いし続けてきた約40年と

フレディーが発病し、命を削りメンバーと再びバンドとして ひとつになるあのくだりでもう

ごめんなさい
フレディー

うわー!本当にごめんなさい。

今まで何度も見たあのステージの前には、そしてあのパフォーマンスをしている時にはすでに病に犯されている、そんなのをファンには一切見せずに
世界中を熱狂させたあのパフォーマンスは どんな思いがあったのだろうか?

命を削り、チャリティーコンサートで無数のアフリカ難民のために
立ち上がる。
バンドの絆、、も強く美しい。
こと、フレディーにフィーチャーされてしまいがちではあるが、本作にはバンドの強い絆がとても良く描かれており、そこもまた素晴らしい。


冒頭のフォックスのファンファーレが流れた途端に!!??まさか?

すげぇなあ

とよくあの音に似せたなぁと思ってたらまさかのご本人様の演奏とは!
これは本当に素晴らしい作品で何十年も三桁は軽く聞いてきても好きになれなかったバンドを一瞬にして好きにさせるほど、彼らの魅力を伝える事の出来る作品。

全くクイーンを知らない人の感動と僕の謝罪の涙、感動の今は大きく異なる。

ごめんなさい
フレディー

何度言っても届かないけれど
Solo1968

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