ユカートマン

ボヘミアン・ラプソディのユカートマンのレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
4.8
奇しくもフレディの命日に初鑑賞。小さい頃からクイーンの音楽が身近にある環境に育ち、クイーン気狂いな父にライブ映像やフレディ追悼ライブの映像まで見させられてきたのでエンドロールで嗚咽で呼吸が出来なくなるほど号泣してしまった。映画を観て泣くのがあまり好きではない私にとってはもう2度と観たくないトラウマ映画だ。目が痛い。

バンドの不和やエイズよりバイセクシャルとしての葛藤の描かれ方に一番泣かされた。フレディとメアリーという美しいカップルが、バイセクシャルやポリアモリー、オープンリレーションといった前衛的な性のあり方に理解がある現代に生まれて、それを実践していたら二人の性的な関係は維持できたのではないかなど考えてしまう。時代が悪かったのだろうか。いや、今でも難しいのだろうか。恋人を一人にしばらないという生き方は、万人に当てはまるものではないのであまりポジティブな見方をできなかったが、こういう天才芸術家は感性が凡人とまるで違うので彼らにはそういうった生き方が必要なのかもしれない。あまりにも二人の葛藤が辛すぎたので。ゲイっぽい魅力を纏うフレディに惹かれるも実際にゲイで恋人がいることを知ってしまうとフレディではなく自身を責めるメアリーの気持ちが手に取るようによくわかった。わたしも中性的な人が好きだ。

あとポール。最初はヨーコみたいでウザいな〜と思ってたものの、ドンパチしていたベルファスト出身でカトリックでゲイという壮絶な生い立ちをカムアウトするシーンで本来悪役であるはずのこいつにも同情してしまったのは私だけではないだろうか。

日本美術の愛好家だった逸話は、日本人特有の日本すごい自慢のひとつで大袈裟なものだと話半分に聞いていたのだが、フレディ宅でそれがちゃんと再現されてあって感動してしまった。嬉しい。

ゲイやオカマの特集でお決まりのようにI was born to love youを面白おかしく流す日本のテレビ番組は本気で恥を知ってほしい。フレディ、生まれてきてくれてありがとう!
ユカートマン

ユカートマン