みささん

ボヘミアン・ラプソディのみささんのレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
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胆振の震災で休業していたIMAXシアターの、復活上映にて。(そのあと普通のスクリーンでおかわりしました)
エンドロールが終わるまで、観客が一人も立ち上がらない映画は久しぶりでした。隣の老夫婦もノリノリだった。見較べてみてやっぱり、IMAXで見ることをオススメします…500円高くても!

クイーンの曲は、そうと知らずにどれもこれも聴いたことがあって、懐かしさと爽やかな疾走感に引き込まれてあっという間に終わった感じがした。てかもう、Keep Yourself Aliveでだめだった。やられた!自分が生まれる前にとっくに亡くなっていたロックスターは、派手で、強くて、お金持ちで、性に奔放で、全人類の頂点みたいなイメージだったんだけど。ボ・ラプでかなりそれが覆った。各所でも言われている通り、脚色がかなり多いし、ディープなファンからしたら物足りなく感じるのかもしれないけど。それでも今、この時代に、彼がひとりの弱い人間だったことを知れたのは自分の映画体験として、かなり貴重でした。

一番よかったと思うのは、それぞれの楽曲が映画の流れの中に自然に組み込まれてて、歌詞がダイレクトに頭に入ってきたこと。自分で歌詞をググって、Apple Musicに入れたアルバムを聴くだけじゃ、こんなに入り込めなかったと思う。
そしてあまり多くを描かない。1つのセリフに10の意味が込められているような。例えばフレディとママとの1対1の交流はほぼ無い。それに、フレディは欲に流されるまま戦わない奴に見えるかも。でも、親がどんなものか、わざわざ描かなくてもみんなが心の中でしっかり知っているし、国籍も宗教もセクシュアリティもマイノリティなフレディの気持ちは考えなくても感じることができる。
マイノリティだからって戦っても、戦わなくてもいい。フレディは戦わなかったんだと思う。弱さを受け入れ、大衆を味方につけ、戦わずして僕たち既に勝者なのだ。友よ!

ところであの映画を観ればみるほどポールという男を憎めないんだけど、それは彼がフレディの写し鏡のような存在だからでしょうか?フレディも、ポールも、めちゃくちゃ弱い存在で、自己中で、めちゃくちゃ人間っぽい。それがグッとくる。

ただの懐古的な、ロックファンに配慮した、事実に忠実な映画だったら。ロックおじさん達が「やっぱりフレディは最高だぜ」なんて言ってるのを見たら、絶対観に行かなかった。でも、こんなに大衆に受けたからこそ観に行こうと思ったし、何なら2日続けて観に行ってしまった…。この若造に、クイーンを、フレディを教えてくれてありがとう!!
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