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リュミエール!のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

リュミエール!(2016年製作の映画)
4.0
とても楽しかった。リュミエール兄弟が撮影した50秒の映像が108本入っていて、クスっとするほほえましいナレーションで、撮影された背景がわかる。構図が完璧。カメラの位置により、奥行きとドラマ性が生まれる。人が初めてカメラを持ったときに撮りたくなる映像、見せたくなる映像だった。

世界中の街角を捉えた映像は、賑わいやその国の人びとの営みが伝わってくる。

同時性を感じる臨場感あふれていた。リュミエール兄弟だけでなく、7人ほどのカメラマンが撮影している。

ほんの少しの演出で、映像におもしろみが増すのも実験している。

映像の動きが速いので、そういえばと、配信は再生速度を変えられることを思い出し、✕0.8にしてみた。ふつうの速さだとおもしろみが減ることを発見。サイレントの早回し(になってしまうのかな)だと、動きのエッセンスに注目できるし、コミカルになる。

50秒、その瞬間、旬の、今ここの感覚を伝えていたリュミエール兄弟のシネマスコープ。

TikTokが撮影時間短いのになんで流行るんかなあと思っていた疑問も解消された。

108本とたくさんあった映像だけれど、どれも印象的だった。

気に入ったのは、
🎥兵隊が壁を越える訓練で手前の人が結局登れず、降りてくる兵士に混じってサボった映像。
🎥カメラ目線の人が少ないのに、港の沖仲士たちがサボって、アシカみたいにゴロゴロして、やたらカメラ目線でニヤニヤしている映像。
🎥大型船が浸水式で勢いよく海に入っていくのを間近で観ている人びと。
🎥兵士の不思議な踊り。
🎥ホースのいたずらはお約束。

どれもほのぼのとしたナレーションが効いていた。

ラストにスコセッシ監督が嬉しそうに映っていたのもほほえましい。映画の始まりの映像愛に溢れていた。

他にも「最初の映画」「映画の生みの親」と言われている人びとがいるので、ベルリンの兄弟のも観ていきたい。
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