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ニュー・ミュータントのHALのレビュー・感想・評価

ニュー・ミュータント(2020年製作の映画)
4.7
オカルトホラー版ブレックファストクラブのような、『シャザム!』『スパイダーマンホームカミング』のような等身大の若者ドラマとして大好きな作品だった。キャストの瑞々しさもダークさも最後のアクションの気持ち良さも全部ある。オカルトな雰囲気が「これはすべて少女の悪夢なんじゃないか?」「トラウマが超能力を引き起こしてしまう?」「精神病院」「大きな組織が関与している?」「X-MENとの関係は?」とさまざまなミステリーを喚起していく。設定もキャストも素晴らしいのだが、たしかに紆余曲折・迷走の末に完成した作品だけあって小規模でギクシャクした感じも残る。ただ、ラストですべてを開放するアニャ様が素晴らしい。クールでアンニュイでシックでビューティで正直全部盛りみたいなところもあるんだけど、それでも破綻しないのがアニャの演技力。終盤までミステリーとパペット人形のトカゲと話してるアニャ様で引っ張って、最後にいきなりめちゃくちゃX-MENになる爽快感!この爽快感は幽閉されていた彼らの気持ちでもある。突然右腕だけ鎧をまとって光る剣を出現させるアニャの中二能力っぷりも最高なんだけど、一番感動的なのは終盤明かされるトカゲのマペットの正体。あれこそがアメコミの美しさだよ。

アニャの演じた「マジック」というキャラクターは調べてみたら実は超人気キャラだったんですね……しかもコロッサスの妹とは。これ完全にデッドプールと合流できるじゃん!はよ続編(もしくはマジックのスピンオフ)作ってくれ。配信ドラマシリーズでもいいから。思えばアニャ主演の『クイーンズ・ギャンビッド』もかなり才能と孤独と生き辛さについてのX-NENみたいなテーマの話だった。まあ作品の興行収入も評価も非常に厳しそうだから、アニャ様がマジックを演じることはもうないのかもしれないが、ちょっとだけでも出てくれたら嬉しい。一作だけなんて勿体なさすぎる。個人的には本家X-MENの近作『アポカリプス』『ダーク・フェニックス』らへんよりは断然好きです。
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