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X-MEN:ダーク・フェニックスのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

X-MEN:ダーク・フェニックス(2019年製作の映画)
1.5
※ネタバレしてるかもしれんから気になる人は読まないでねー(私の場合どのレビューにも言えるけどね)
[晩節を汚したチンケな戦い] 30点

Indie Wireに"存在価値なし"と言われていたので只なら観てやろうと思っていたら、ドタキャンの穴埋めに呼ばれたので行ってきた。当日の14時に"今日のイベントやけど来る?"とメールが来るって中々狂ってるよね。シリーズとしてはこれが最後と言っているらしいが、見事に晩節を汚した信じられないくらいの凡作だった。存在価値なしとまでは言わないが、別になくても構わないし、悲しいかな試みは何も上手くいってなかった。『Xメン』シリーズってコミック原作映画の歴史を変えた凄い作品群なんだけど、今回はその評判に乗っかってるだけのように思える。

まず、大きな枠組みとしては"なんか凄い力"を持つことになったジーンが勝手に暴れだし、それを三勢力が追うという古典的なものに、チャールズやエリックとジーンやスコットの世代間対話を重ねて"家族愛"を励起するという話。しかし、世代の話にしてもざっくりした家族愛の話にしてもポイントを悉く外している感じが否めない。前者は"そこにいる"ってだけで提示、後者に至っては全員がクヨクヨ悩むばっかりで踏み込んでいないし、レイヴンの死のせいでブチギレたエリックとハンクは"地球守るためなら"と二つ返事でジーン救出に参加する。おい、怒りの感情はどこいった?チャールズに至っては妹的ポジだったレイヴンより娘ポジのジーンが大事なようで、レイヴンの存在感が後半にかけて羽根より軽くなる。犬死とはこのこと。いつの時代の映画だよ。
しかも、エリックの隠れ家からジーンが出ていくとこは爆笑必至のアホな展開だ。なんせ軍人から匿ってあげていたのに、勝手に出て来た上でエリックに八つ当たりするのだ。流石に人格に問題ありでしょ。

シリーズで初めて宇宙人が出てきたくせに戦いがチンケ&ハンディカムで見えにくいというアクションシーンとしては致命的な欠陥がある上に、フィールドもゴチャゴチャしているので、戦いが全く映えない。そもそもグロい宇宙人て。そして、ジーンが明らかに強すぎるので最後の最後までとってあるのに、彼女が戦線復帰する理由がそれまでの暴れぶりに対して軽すぎるのも問題だ。これまで冷静さを失って、エリックのおうちと平和を破壊して、チャステインに"やっちゃおうぜ!"と言っていたのに、"私が信じる"っていうたった一つのエピソードでライトサイドに戻ってくるとか信じられないわ。それなら最初からライトサイドにいた気がするんだが…『トランスフォーマー4』の闇堕ちオプティマスですか?

レイヴンとチャールズの短いやり取りが炎上していて、確かに酷いなぁと。危険な任務をジーンにやらせたチャールズに対して"ここじゃいつも女が男を助けてる。XメンじゃなくてXウィメンにすれば?"と言い放つのだ。確かに映画は女同士の戦いであり、それにレイヴンが重要な役を担っているが、Xメンには男だっているし、映画自体が女を中心にしているとは云え"女性であること"についてまでは踏み込んでいない、的外れで勘違い甚だしい意見だし、完全に蛇足なシーンなのだ。それに対して、ミソジニーに凝り固まったチャールズの人物描写も気持ち悪い。こんなやつだったっけ?もっと思慮深い人だと思ってたんだが…

色々言ったが、ポイントを外しまくってアクションも見にくい&短いというマーベルものにはあるまじき映画だった。良い点は二つだけ。ソフィー・ターナーの巨乳と二の腕。『GoT』を生で追っていた人間からするとなんか娘みたいな感じに見えてくるんだけど、メイジー・ウィリアムズやキット・ハリントン、エミリア・クラークの出演作が爆死していることを考えると、『GoT』のメイン組で生き残れるのは意外と少ないのかもしれない。

追記
上映前イベントは誰得&激寒だったんだけど、一番酷かったのは司会の人が"Twitterで面白かったって書いてね"って再三言っていたことだろう。映画の感想くらいこちらで決めるし、第一つまんない前提みたいな言い口じゃないか。イベントも酷かったんで、上映前から心は冷めきっていた。やる価値なし。
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