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ランペイジ 巨獣大乱闘のnetfilmsのレビュー・感想・評価

ランペイジ 巨獣大乱闘(2018年製作の映画)
3.7
 宇宙の静けさの中で1人取り残されたアトキンズ博士(マーリー・シェルトン)は気丈にミッションをこなすが、病原体を含む研究サンプルの回収作業でパニックを起こす。まるで『ゼロ・グラビティ』や『エイリアン』シリーズのような展開はいかにもB級映画を予想させるが、この場面はその後の展開にとって極めて重要だと言わざるを得ない。脱出ポッドの爆発により、3つのサンプルの入ったカプセルが3方向に散りじりになりながら地上に落下する。1つはワイオミング州キャスパーの森林へ、2つ目はフロリダ州エバーグレイズ国立公園の湿地帯へ、そして最後の1つはカリフォルニア州サンディエゴの野生動物保護区へ墜落する。その時点では禁断の「ランペイジ計画」は少々計算外ではあるが、極秘裏に進められているはずだった。サンディエゴの野生動物保護区で働く霊長類学者デイビス・オコイエ(ドウェイン・ジョンソン)に起こる受難は、『ダイ・ハード』シリーズのような巻き込まれ型サスペンスの様相を帯びる。彼が恐るべき「ランペイジ計画」に首を突っ込むきっかけとなるのは、唯一無二の親友として、かけがえのない関係を育んで来た色素欠乏症のゴリラのジョージの巨大化に端を発する。

 今作の醍醐味は、前半部分のファニーな感覚から一転して3匹の巨大怪獣たちがシカゴの街を襲う点にある。低周波装置に引きつけられる3匹の猛獣という展開は何とも間抜けだが、その状況が3匹をシカゴの大都会へと誘う。FBIも軍隊もOGAのラッセル捜査官(ジェフリー・ディーン・モーガン)もバーク(ジョー・マンガニエロ)も防ぎようがない地球規模の巨大な危機に対し、成す術も無いように見える人間側のデイビス・オコイエとケイト・コールドウェル博士(ナオミ・ハリス)の展開の早さがなかなか素晴らしい。特に高層ビルディング群を次々になぎ倒しながらシカゴの中心地に向け、横移動する2匹の様子を至近距離で眺めていた2人は、やがて海面の底に恐怖のシルエットを発見し、固唾を呑んで見守る。シカゴまでの横移動の素晴らしさ、そして低周波装置へとビルをよじ登って向かう縦移動の高揚感にはやはり抗えない。実質的なエナジン社の経営者であるブレット・ワイデン(ジェイク・レイシー)の影に隠れるクレア・ワイデン(マリン・アッカーマン)の怪演ぶり、そして真のクズ野郎ぶりを見せつけるラッセル捜査官の曲者ぶりもアクセントとしてよく効いている。軍隊の無能ぶりに対し、デイビスの孤軍奮闘ぶりにはやや矛盾も見えるが、クライマックスの30分間にはなかなか痺れた。
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