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坂道のアポロンのmykrのレビュー・感想・評価

坂道のアポロン(2017年製作の映画)
3.8
原作漫画も全巻持っていて何度も読み返していて、6年前ノイタミナでやっていたアニメも毎週録画して見てて、何度も見返してる大好きな作品。

いつかは実写化されるだろうと思っていたけど、その時には『のだめカンタービレ』みたくドラマからやって丁寧に描いてほしいなと思ってた。
実写化発表された時、まずキャスト陣にとてつもなくガッカリした。全然合ってない。
ただ、淳兄さんを出来るのはディーンしかいないだろうと思っていたからそこだけは良かったけど。

例えば昨年実写化された私の大好きな『ジョジョの奇妙な冒険』は、キャラ立ちが派手だし、スタンドはCGだろうし見てみないとボロクソに批判もできんなと思って見に行ったけど(結果ハードルを下げていた分予想以上に良かった)、アポロンは青春もので、恋愛もあるけど千太郎と薫のバックボーンや心情や友情をジャズの曲とリンクさせながら繊細に描いているところがすごく好きで、これを実写でやるには成功例ののだめみたくやらんとダメだと思ってて、すごく抵抗があった。
近年の邦画は漫画原作の実写化がすごく多いけど、原作好きすぎるとここまで思うんだなと。
でもやはり気になってはいたけど。

でもフタをあけてみると、原作ファンの評価も高く、原作者の小玉ユキ先生の高評価ぶりがウソじゃないのが伝わってきて、やっぱ見ないといかんか…と思い始めてきた。やっぱ食わず嫌いはいけない。


結果、映画としてはとても良かった。
何より中川大志の千太郎がすごく良かった。
ハーフ設定だから日本人じゃ…と思ってたけど、ヤンチャなところや佐世保弁しゃべってるところやドラム叩く姿も、紛れもなく千太郎だった。
ただもう少しガタイ良ければなとは思ったけど。

律っちゃんは素朴で芋っこくて可憐で守りたくなる可愛いらしい女の子で、小松菜奈のアンニュイでミステリアスで都会的な雰囲気とは程遠いやろ…と思ってた。多分原作ファンなら誰もが思ったはず。
でも薫と千太郎を見つめる眼差しは律っちゃんで、二人の演奏を見て泣く律っちゃんに二度ほどもらい泣きしてしまった。
でももっと適任がいたはずとは思うけど。
ちなみにジョジョの山岸由花子はぴったり。

薫役の知念くんは、一番ちがうと思っていた。
もっとシュッとしてて物静かな雰囲気でインテリな感じ。だからといって誰が適任かは思いつかないのだけれど。でもピアノがとても上手くてびっくり。未経験者が9ヶ月とかでこんな弾けるようになるのか?!と疑うほど。相当練習を重ねたのだと見ていて伝わってくる。そしてちゃんと千太郎を思う薫だった。でもやっぱ背が小さすぎる。笑

ディーン、かっこいい。「But Not For Me」の甘い歌声…あれはズルイ。でもやっぱアニメの淳兄の声のが好きだけど。ジャズバーのシーンはオリジナルになってて残念。でもトランペット演奏で、アニメの淳兄のトランペットも担当されている類家心平さんがクレジットされていたのは高まった。

中村梅雀さんのウッドベースかっこよすぎた。
1シーンだけだったのが残念。もっと見たかった。

真野ちゃんは可愛いけど、百合香はもっとミステリアスでクールな美少女って感じだから、それこそ小松菜奈のがむしろ良かったのではと思ったり。

松岡星児はもっと背も気も小さい感じで、キザな王子様って感じの人が良かった。あんな横柄で文句言うやつじゃあない。ジャニーズのバーターならもっと他にいそうなのに。


作品としては、2時間でまとめるにはオリジナル要素も入れなきゃいかんだろうし、流れとしてはまぁ仕方ないかなという感じ。薫いきなりピアノ上手くなってるし、千太郎といきなり仲良くなってるし。

私が原作でトップ3に入るほど大好きな、薫が東京のお母さんに千太郎と会いに行く話とか、淳兄が東京戻る前に千太郎と殴り合いセッションのシーンとか数え切れないほど好きな話がたくさんあるから、あと淳兄と百合香の話も大好きだから、仕方ないとはいえ、すごい端折られていたのは残念。

原作でもアニメでも屈指の名シーンである文化祭の演奏シーンは、アニメの3分31秒が大好きすぎて50回以上は見ている気がするしサントラでも何十回も聴いてて、それに慣れてたからやっぱ違和感があったけど、とても良かった。
グッときた。泣いた。でもやっぱアニメのメドレーのが流れや繋ぎも完璧すぎて超えられない。

つまり簡潔にまとめると、、、

・実写映画としては良かったと思う。
・音楽映画でもあるから音響が良い劇場で見られてよかった。
・でもやっぱり原作が大好きすぎて認められん部分がたくさんあった。
・最初のタイトルバックかっこいい。
・小田和正師匠の主題歌いい曲。

という感じです。笑
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