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リングのrensaurusのレビュー・感想・評価

リング(1998年製作の映画)
4.3
呪いを刻まれるものと捉え、時間や共感による治癒がもし叶ったとしても、そこにある呪いは何をしようが消えないという恐怖が面白い。

何かしらの力を持ったシヅ子が、彼女に「興味と関心」を持った人々によって苦しめられたことを呪うように、呪いのビデオへの「興味・関心」を餌食に広がる貞子の呪い。貞子の父親は本当は博士ではないのかも知れないという意味深な仮説は、シヅ子が人々から認められないことへの怨念として貞子を産み出してしまったことを何処となく示唆している気がして、考察を捗らさせる。

息を呑みつつ、好奇心や自己防衛に抗えずにテープをデッキに挿入する。この行為が既に罪なのである。

能動的な興味・関心が憎い。保身のために槍玉に挙げられるのが恨めしい。そういう怨念としての存在だと感じる。

その割に、広めた張本人は死なず、実質的に広められることを望み、最後の一人まで広まらんとする状況は、呪いの不毛さを体現しているし、広められるなら広められたい、無関心ならそれはそれでいいという厄介な白黒思考でもあるように見えて、それはそれで面白い。というかウザい。

映画としては序盤は特に説明台詞を最小限に物語を丁寧に展開している感じが良く、竹内結子は松嶋菜々子の親族なんだぁ、そんで報道関係だから色々調べるんだぁとか、真田広之は恐らく元夫で霊感がありそうだなぁと思ったらやっぱりそういう展開になったなぁとか、話の運び方に品があって良かった。

綺麗な絵、構図が多くて思わず見惚れた。

俳優陣も豪華で凄かった。松嶋菜々子と真田広之が本当に美男美女で絵になるので画面が保つんですわ。竹内結子、中谷美紀、松重豊など、存在感のあるちょい役も良く、好きなメンバーだった。

あとは男の子。あの虚ろな瞳と、文字通り何かに操られてるような言動が恐怖感を引き立てていて凄く良かった。

きっと来る〜♪ってあんなエンドロールだけなんだ〜。
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