アキラ

検察側の罪人のアキラのレビュー・感想・評価

検察側の罪人(2018年製作の映画)
3.6
"人は100%の嘘は言わないし、
100%の真実も言わない。同じように、
100%の正義はないんだと思う。"

雫井脩介 さん原作「検察側の罪人」を
「クライマーズ・ハイ」「日本のいちばん長い日」で
有名な原田眞人 監督による映画化。

木村拓哉 さん演じる最上検察官と
二宮和也 さん演じる
駆け出し検察官沖野の2人が
織りなす"正義のあり方"について
描いたリーガルサスペンス。

物語は、沖野の研修最終日に
教官である最上の最後の教鞭を
受けるところから始まる。
実務経験を経て再び最上のところに
戻ってきた沖野は、
都内の殺人事件の担当することになる。
容疑者に浮上してきたのは、
最上が解決を願い、
時効が成立した事件の容疑者
松倉(酒匂芳 さん)の姿だった。。

リーガルサスペンスとしては、
珍しくない正義をテーマにしたもので、
堺雅人 さん主役のドラマ「リーガル・ハイ」
のような脚本の妙みたいなものはないのだが、
個人的には好きなジャンルである。

結局こういったドラマの落としどころは、
観る人たちに答えは委ねつつ、
正義とは、確立してるようで、
非常に不確かなものだということ。

僕もたびたび引用するのだが、
「猫のお寺の知恩さん」の言葉を
借りるならば
「どんなにいい人間でも、
きちんとかんばって
いれば、だれかの物語では、
悪役になる。」

見方を変えれば
容易くその定義は揺らいでしまう。
問われているのは、正義の定義ではなく、
価値観の多様性を受容し、
あなたがどこにモノサシを合わせるかである。

本作で言えば最上を行き過ぎた正義、バッドマン のようなダークヒーローととらえるか、逆に沖野は、100%の正義だったのか。
容疑者の松倉も100%の悪なのか。

解釈は人それぞれとして。
本作の見応えは、やはり豪華キャストだろう。

キムタク とニノ の共演の珍しさに、脇を固めるのは、
吉高由里子 さん 、松重豊 さん、平岳大 さん、
そして、山崎努 さん。
酒匂さんも含め、個性派俳優たちで、
安心して世界観にひたれる。
前評判通り、沖野の取り調べシーンも圧巻。
それだけで十分に観る価値はある。

あなたはこの映画で得られるものがあるだろうか。
是非劇場でお確かめ下さい。
アキラ

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