れもん

検察側の罪人のれもんのレビュー・感想・評価

検察側の罪人(2018年製作の映画)
4.0
木村拓哉と二宮和也の競演。
二人は作品中では検事の先輩後輩で、現実ではジャニーズの先輩後輩。
それがなんだか作品と現実をリンクさせる効果をもたらしていたと思う。

木村拓哉も「いつものキムタク」ではない役柄と演技で新鮮だったし、二宮和也演じる沖野が松倉に怒鳴るシーンの迫力は本当に凄まじかった。
ああいうシーンは、演じる俳優によっては演技力アピールのようになることも多い気がするけど、彼の演技は本当にどうしようもなく感情が爆発して怒鳴っているようなリアリティがあった。
また、吉高由里子もハマり役だった。
世間的な倫理観ではなく個人的な倫理観を大事にしている女性…
彼女が実際にそういう女性かは知らないけど、なんとなくイメージどおり。笑
木村拓哉、二宮和也、吉高由里子のメインキャスト三人はとても良い演技をしてくれていた。

ただ、全体的にセリフが聞き取りにくい部分が多く、丹野議員のエピソードはあまり理解できないまま物語が進んでいった。
しかし、それでも物語の大筋の理解にはなんら影響しなかったので、丹野議員のエピソードを削って、そのぶん最上の学生時代のエピソードを深く掘り下げていたら彼の行動の説得力ももう少し増しただろうと残念に思う。

しかも、どうやら原作の小説とは丹野議員が自殺する理由が全く違うどころかもはや正反対になってしまっているらしい。
原作どおりの理由で自殺するなら彼は最上と似たような正義を持っていたことになり、彼らが友人であり続けた理由も、「果たして真実を明かすことだけが正義なのか?」という問題提起も理解しやすくなっただろうに。
監督の偏った思想を主張するためにわざわざ原作の設定を捻じ曲げたエピソードを描くことに固執したのかもしれないが、そういうことをすると作品の主題がぶれてしまうし原作への冒涜にもなりかねない。
どうしても思想を主張したいのなら、オリジナルの脚本を書けばいいと思った。

【2019.05.24.鑑賞】
【2019.05.25.レビュー投稿】
【2024.03.19.レビュー最終編集】
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