ぶみ

ミスター・ガラスのぶみのレビュー・感想・評価

ミスター・ガラス(2019年製作の映画)
3.5
「スーパーヒーロー」は、実在するか?

M・ナイト・シャマラン監督、脚本、ジェームズ・マカヴォイ、ブルース・ウィリス、サミュエル・L・ジャクソン等の共演によるスリラーで、同監督の『アンブレイカブル』『スプリット』と世界観を共有する続編。
特殊な能力を持つ三人の男が対峙する姿を描く。
前述の二作については鑑賞済み。
主人公となる『スプリット』で登場した多重人格者をマカヴォイ、『アンブレイカブル』で登場した不死身の肉体と悪を感知する能力を持ったデヴィッド・ダンをウィリス、同じく『アンブレイカブル』で登場した壊れやすい肉体と天才的な知能を持ったイライジャ・プライス(ミスター・ガラス)をジャクソンと、いずれも当時と同じキャストが演じているほか、ダンの息子をスペンサー・トリート・クラーク、イライジャの母をシャーレイン・ウッダード、そして多重人格者が起こした事件の唯一の生存者をアニャ・テイラー=ジョイとこちらも当時のメンバーが集結。
物語は、精神病院に収容されることとなった多重人格者、ダン、プライスがサラ・ポールソン演じる精神科医のもと治療を受けるシーンが中心となるため、特に前半は病院という閉ざされた空間でのワンシチュエーションものの様相で展開。
中盤以降、病室を抜け出したことをきっかけに物語が動いていくこととなるのだが、やはり本作品の見どころ一つは、『スプリット』の時と同様、多くの人格を持つ男を見事に演じ切ったマカヴォイで、コロコロと表情や目つきが変わっていく様は、怪演の一言。
また、そこに絡んでくる『アンブレイカブル』のウィリスとジャクソンも、当時の雰囲気そのままで、懐かしさ満点であると同時に、実年齢で『アンブレイカブル』公開当時は12歳だったクラークが32歳になっていたことや、シャマラン監督お得意の本人登場シーンが『アンブレイカブル』と同じ役どころであったのも見逃せないポイント。
そんな中、ジョイが台詞は少ないながらも持ち前のキュートさをいかんなく発揮しており、重苦しくなりがちな本作品の一服の清涼剤として機能していたのは良かったところ。
視点固定や長回しといった監督特有のカメラワークや、映像の端々に伏線が散りばめられていやしないかと思わせる展開は健在であり、マカヴォイの演技の前にはウィリスやジャクソンが霞んでしまうとともに、流石に本作品を観るには『アンブレイカブル』『スプリット』の予習が必須だろうと感じた一作。

準備はいいか?
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