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デス・ライブのJIZEのレビュー・感想・評価

デス・ライブ(2017年製作の映画)
3.5
凄惨な殺人事件が相次ぎ発生するリンウッド地区を舞台に部屋中に仕掛けられた小型カメラで犯行を全世界に生中継する謎多き猟奇事件の全貌を描いたワンシチュエーションものホラー映画‼︎主演ベラ・ソーンの恐怖映えする表情が後にも先にも新鮮で良かった模様。主に鎖で隔絶された家内の籠城戦とホームビデオのような定点カメラや小型ドローン機で俯瞰視点をとる構成も印象的だった。また被害者に抵抗する余地が毎ターン与えられたり殺人鬼からの赤リボンで結んだ贈り物(武器)で応戦する一幕などロウバジェット映画ながら適度に工夫がこなされた奮闘した小品だったように感じる。原題の「KEEP WATCHING」は直訳で"監視中"。すなわち正体不明の敵が観客への"娯楽の提供"を目的にひと家族を無残に襲撃する。いわゆる個人的に低予算ホラーの佳作だと思われる若者三人が真夜中に無人エリアに設置されたATM内にふと立ち寄った事から悲劇に見舞われる『ATM(2012年)』風の感触だ。特に狙われる側が仕掛けた罠に翻弄される様は踏襲したような描かれかたである。簡潔に云えば"なぜ家族が狙われたのか"や"犠牲者を選ぶ基準は"など敵の目論みが酌されるまではある程度の現実味が加えられ怖がりながらも観れた。例えば序盤で最初に父親が狙われ他家族三人が部屋に立て籠もる一幕などは一枚の扉で隔てられた『パニックルーム(2002年)』的なスリラー性を彷彿とさせる。また中盤である人間が敷地の外にでるくだりも超ベタだが正攻法な造りだなと感じました。はたまた終盤の家族を狙った動機が"実は◯◯でした"の個人のSNSが安易に閲覧可能となった現社会に警鐘を鳴らしてるようでもある。配信にタイムラグが生じるネット社会の病理や過去の事件との関連性がああいうカタチで合流するのも非常にシニカルだったのではないか。闇に染まらない主人公の無垢な感じや前回の犠牲者がああいう風に登場する冒頭との対になるながれなど最後まで良かった。認知度低めの小品ながらだいぶ奮闘した作品です。
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