真鍋新一

母の真鍋新一のレビュー・感想・評価

(1929年製作の映画)
3.4
高峰秀子の養女だという人の本のおまけについていた34分版。フィルムセンターで観られるプリントよりも欠落があるのかもしれない。高峰秀子は当時4〜5歳。おかっぱ頭の小さな女の子だった。

お母さんはとても苦労して子どもたちを育てました…という後の「母もの」のルーツっぽい話で、世の理不尽に負けそうになりながらもしたたかに生きる主人公の健気さに泣かされそうになった。お決まりのお涙頂戴パターンなのはわかっているのに何故。

フィルムが残ってないだけで、おそらくこの手の作品はすでにたくさん作られていて、演出のパターンは決まっていたんじゃなかろうか。幼い高峰秀子がミシンに近づいたり、墨汁を目に入れて泣き出したり、不幸のフラグを次々とおっ立てるのでハラハラしてしまった。古い映画には珍しく引きの移動ショットが何度もあり、効果的に使われていた。
真鍋新一

真鍋新一