アズマロルヴァケル

狂覗のアズマロルヴァケルのレビュー・感想・評価

狂覗(2017年製作の映画)
4.2
背筋が凍るスリラー

過去に生徒をある事件で殺してしまった谷野先生は森先生の誘いで教職に復帰する。森先生が勤めている中学校で校長室で何者かに上西先生を殺された為にピンチヒッターとしての復帰だった。

谷野と森、そして橋本先生らは体育の授業中に生徒立ち会い無しの秘密裏の
荷物検査を行うことに。すると、荷物検査の末にある女子生徒の名前が出始め、その生徒がいじめっ子なのではと
考えるのだが・・・といった話。


実は俳優陣は演者である一方でこの映画に携わるスタッフとして活躍しており、低予算ながら上手く頑張っていて
非常に良くできた作品だと思いました。

脚本は荷物検査で芋づる式に次々に出てくる仕組みでして、最初に関係なかっただろう話題が後半ではここで出てくるのかと不意に出てきたときはハッとさせられ、変人みたいな人がちょっと良さそうな人で、善人そうな人が善人ぶっていて、変態そうな人が変態そうな人で、なかなか練られていてそれだけでも面白いです。


で、先生たちの秘密が暴かれると同時に谷野先生のトラウマと大人たちの無能さというのが皮肉にも不条理極まりなく、とてもやりきれない気持ちになっちゃうものでして、他に解決策は無かったと思わせられます。

ストーリー展開はだんだんオチが知りたくなっちゃう感じで、目が離せないのでラストシーンはどうなっちゃうの?と思ったらいじめられっ子が無能さが滲み出た先生による報復とも言えるある種の呪いのような不気味さ、後味の悪さは結果的に何故森先生がうっかり薬を飲んじゃったのか、こうなったせいで谷野先生がますます生きる希望を閉ざしちゃったのではとエンドロールまで続く気持ちの悪い余韻はどのメジャーなホラー映画よりも味わえないことでしょう。