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狂覗のeyeのレビュー・感想・評価

狂覗(2017年製作の映画)
3.6
"狂覗" (2017)

去る2017年
UPLINK渋谷で公開されていた映画

JKを中心とした物語かと思いきや
さらに下のJCの物語だったとは…

原案である宮沢章夫著「14歳の国」は未読
一切の予備知識なく鑑賞してみた

スカートが相当短いJCが映し出された
ジャケットにはどことなく不穏な印象を受ける

ジャンルとしては

"サスペンス・ホラー・スリラー"

といったところか

肝心の内容は、、

上西という教師が性癖を明るみにさせられ且つ
誰かにボコボコにされた結果 瀕死状態で発見

冒頭からヤバいことが起きている

学校長が警察の介入を拒む時点から
自己保身や体裁を守る昨今の隠蔽体質のメタファー

上西をボコボコにした犯人を捜すべく
その他 教師達は『生徒』が犯人と決めつける

その証拠を抑えるために生徒達が
体育の授業中に独断で荷物検査実施

抜き打ち検査中 教師達は別件事案を発見する

クラス内で起こってるであろう
イジメの痕跡を節節で発見する

担任である英語教師 片山はしらばっくれている

このストーリー自体は

"教師を半殺しにした その犯人探し"
"いじめの被害者・加害者の把握"

2つの軸を中心に展開される

実際のところ生徒達のヤバさよりも
『教師達のヤバさ』がどんどん暴かれていく

教師達の素性が露わになるというべきか

ストーリー中 主人公 谷野の回想が起こり

"過去に起こしたであろう事件" 

によって今も精神状態の不安定さを露呈させている

→ 主人公 谷野は明らかなPTSD状態
被害妄想により業務遂行不可能レベル

→ 数学教師 菅は裏ではJKと援交

→ 英語教師 片山は実際授業ボイコットされてる
加えてクラスのイジメを放置

→ 抜き打ち荷物検査を主導してる
科学教師の森は校長&教頭に圧力をかけられ
明らかに行動・言動不審状態

教師としての模範や規範など 善悪の区別も崩壊

生徒達を『悪』と見立てつつ展開するも
全体像を全く把握してない教師達は偏見の塊

この"狂覗"という名称は誤った色眼鏡をかけて
現実を見誤り狂ってる観点から

教師≠狂覗

とダブルミーニングになってる

生徒の中の『万田』という人物が
クラスのイジメ主犯格と捉えられつつ
ミスリードで展開し続ける

万田自身が追い詰められた現状を把握するのには
もはや遅すぎた感が否めない

万田は荷物検査を先導していた科学教師 森の
手よって壮絶で悲惨な終末を迎える

森自身も因果応報となり
残念で悲惨な結末を迎える

"学校"

という舞台の中に

→ 社会の縮図が描かれ
イジメや互いの騙し合い
止めようのない非行が描かれる

→ 加えて教職者がわいせつ行為をはたらき
教師の役割すら果たせない現実

→ LINEを中心としたSNS上のイジメ

明るい未来は見えず 混沌とした状況が
導くであろう方向性はバッドエンド

もうだいぶ前になるが 

"トリハダ"

という深夜にひっそりとドラマ(のちに劇場公開されていた)がやっていた

"幽霊の代わりに人間が1番怖い" 

というコンセプトで作られていたが
この物語も同様のテイストと思える

「問題提起をして明るく解決しました!」

という風に持っていかず
解決できず鬱屈した状態を継続して

『ずーーっと問題が残り続ける』

という爽快感のカケラもない形で作られ
期待を裏切らない独自の良さがある

インディー映画の良さを垣間見れた作品
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