喜連川風連

おじいちゃん、死んじゃったって。の喜連川風連のレビュー・感想・評価

4.0
おじいちゃん死んじゃったって
現代を映すような他人事のタイトル。

「そうやって、他人事ですませて、世界は回ってるのよ」
ひねくれた現代人には葬式ひとつすませるにもドラマになる。
サマーウォーズしかり、親戚大集合の絵は、もはや非日常なのだ。

大人が見栄や体裁で葬式を行うのを完全に子どもたちに見透かされ、流す涙もファッションのように映される。

自分が祖父の葬式に出たときの気持ちとあまりにリンクしていて本当にすごい。

葬式に出ると、泣かなければならない雰囲気に会場が支配され、故人に気持ちを寄せていない人は非国民のような扱いをされる。
だが、泣くだけが故人に想いを寄せる手段なのだろうか?

音楽のミスマッチ。編集・カットがあまり上手くないものの、脚本・原作が素晴らしい。

特筆すべきは岸井ゆきのさん。
仲良い人、身内、他人、たまに会う親戚の人にそれぞれ違う顔を見せる。すごい。

おじいちゃんが死んじゃったタイミングで主人公がセックスをしていた贖罪をどう償うか?に焦点が当てられつつ、家族がなぜ分解したのか?なぜ兄弟仲が悪いのか?を示していく。

生と死は裏表。

生きるということは同時に死ぬこと。

この映画を見て、ラブホと墓地が入り乱れる鶯谷を思い起こした。

「当事者意識の無さ、涙を流す価値」ってなんなのだろう。

喫煙や飲み会をしないと僕らは分かり合えないのか?
それとも喫煙は線香の暗喩だったのだろうか?
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